| エジンバラ特派員(会員966) ジミー山内のプロフィール |
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Edinburgh Now: 076 2007.06.25 Englandの禁煙法施行で、英国が世界最大の屋内禁煙国家へ |
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| 『エジンバラNOW』の文章に関する著作権はスコッチ文化研究所が有しており、無断での使用を禁じます。 |
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Englandの禁煙法施行で、 |
2007.6.25 |
来月1日からついにEnglandでも屋内公共施設での喫煙が禁止になる。Scotlandは去年3月より、Walesは今年4月、Northern
Irelandでは先月から同様の法律が施行されており、これで全英での禁煙となった。これにより英国が屋内喫煙が禁止されている世界最大(人口ベース)の国家となる。 |
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Whyte&MacKay遂に安定か? |
2007.5.24 |
| Kindalに名前を変更し、南アフリカの資産家Vivian Imermanに買収されたりと、なかなか方向性の定まらないWhyte&MacKayだが、遂に先週、明るい未来が広がったようだ。もしかするとIsle
of Jura, Dalmore, Whyte&MacKayなどのウィスキーが十年後にはもしかすると世界で最も親しまれているウィスキーになるかもしれない・・・。
Vijay Mallya氏は先週Isle of Jura,DalmoreそしてInvergordonを有するスコッチウィスキーの名門、Whyte&MacKayを約1310億円で買収し、20億円以上を投資してInvergordonの生産能力を現在の年産4000万リットルから二倍の8000万リットルに増大させる計画を発表した。これは現在最大の生産能力を誇るDiageo社のCameronbridge、DiageoおよびEdrington合弁のNorth Britishを抜いてイギリス最大の蒸留所となる。Diageoは現在Roseisleに世界最大のモルト蒸留所の建設を計画中であり、ウィスキー復権の動きが製造にも反映されてくるようになっている。 「Vijay Mallya」と聞いてピンと来た人は相当なインド経済通かもしれない。2007年のForbeによる世界の富豪ランキングで664位につける彼は、Kingfisherビールを(イギリスの大体どこのインド料理店でもこのビールが手に入る)主要銘柄とするUnited Breweries Groupのオーナーである。 しかし、Mallya氏はいったいどんな観測の元にこんな派手な買収や投資が行えるというのだろう?その答えはUBGのメインマーケットであるインドにある。2008年4月のインドにおけるウィスキー輸入に関する関税撤廃により、「インドウィスキー」を長年嗜む2億人にも上る人々がスコッチウィスキー業界のターゲットになる。EUの総人口にも等しい人々が成長著しいインド国内で「本場」のウィスキーを待ちわびている訳である。現在1%にも満たないようなシェアしか確保できないスコッチウィスキー業界にあって、インド市場はまさに市場を育てる必要も無い、非常に即効性の高いマーケットなのだ。 Imerman氏も相当の努力をしたようだったが、アルコールビジネスの専門家ではない氏には大変だったようで、結果が伴わず、それが手放す直接的な理由らしい。せっかくEdinburgh郊外に造られたボトリングプラントは、Mallya氏のウィスキーを液体ごとインドに輸出するという計画の下、どうやら無駄に終わりそうである。 ちなみにWhyte&MacKay社はスコッチウィスキーの業界団体であるSWAへの参加を躊躇しているという。これはSWAがインド製ウィスキーがモルトやその他の穀類を原料としないことから、ヨーロッパ域内での販売を拒否しているからである。UBGはインドにおけるインディアンウィスキーの最大手であり、これをヨーロッパにも輸出したいと願っているのだという。他方SWAは重要なロビー団体でもあり、インドの関税撤廃にも一役かっていることから、Mallya氏としては悩ましい立場に立たされている訳である。 父親がIsle of Juraを愛飲していたことから、特にIsle of Juraに強い思い入れがあるというMallya氏。今後の動向が楽しみだ。 |
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鳥の視点から・・・ |
2007.5.14 |
| 先日、GoolgleEarthやMicrosoftVEを使ってLadybank等の蒸留所を見たが、今回はちょっと脱線してもう少しウィスキー関連の施設を見てみたい。GoogleEarth等の問題はスコットランド周辺の地図が必ずしも鮮明ではないことだ。特に蒸留所などがある人里離れた地域は、鮮明さにかけることが多い。それでもいくつかこの手のサービスを比べると、場合によってはかなり鮮明な画像を与えてくれる。
ということで、いくつかウィスキー関連の上空写真を…。といっても、蒸留所を映しても芸が無いので、普段、観光客があまり訪れないところを挙げて見よう。 まずはなんと言ってもこれ。 http://www.flashearth.comのMicrosoft VEを使って北緯56度7分4秒、西経3度52分付近を見てほしい。 Labelバージョンを使えば、そこが今は無きCambus蒸留所跡地であることがわかるはずだ。が、目的は閉鎖蒸留所そのものではない。それに隣接したなにやら米俵を上から見下ろしたようなもの。数えただけでも50近くある。実はこれ、Diageo社が持つ世界最大の集中熟成庫である。ここになんと三百万樽以上のウィスキーが熟成されている。 いったんこの場所が確認できたら、どのくらい上空からこの施設が発見できるか試してみてほしい。左に人口約4万人のStirling、左にはAlloaが見える。それらの町と比べてもそん色ないほどに目立つ建物だ。ウィスキーというのは、実はこういうところに眠っているものなのである。 次はDufftownのGlen Fiddich。57.27.16N、3.7.37Wの辺りが蒸留所そのもの。右手、少しはなれたところに熟成庫が見えると思うが、ここが今は無きParkmore蒸留所。しかし、パゴダ屋根は残されている(この写真からはわからないが・・・)。面白いのはGlen Fiddich蒸留所を真北に少し行った、町外れにある熟成庫群。写真からは手に取るようにわかるが、実はこれらの熟成庫は、左を走るA941からは殆ど見えない。A941のすぐ右手からFiddich川へと谷間になっていて、うまいことその谷間に生い茂る木々にさえぎられ、これらの熟成庫はまったく見えないのだ。まさしく"glen"のなせる業である。近代的な建物をうまく隠し、Glen FiddichやBalvenieが持つ独特の雰囲気、ひいてはDufftownの雰囲気を巧妙に保っている。 A941を北側へたどっていけば、Speysideクーパレッジ、Craigellachie、Macallanと、スペイ川流域の蒸留所がたくさん出てくる。上空からバーチャル・ウィスキー・ツアーもなかなかオツなもんではないだろうか。 |
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Ladybank蒸溜所 その後 |
2007.4.22 |
| 4月初めにスペイサイド、スカイ、アイラと一週間以内に様々な地域をDave Broom氏等と一緒に訪れることが出来た。部分的だがこの間で得られた情報などを少しずつお伝えしたい。
まずはLadybank。去年10月、土屋氏と訪れた際には屋根を張り替える真っ最中だった。今回、Dave氏などと合流するためにAberdeenへと、Edinburghから列車で向かったのだが、本当に車上からLadybank蒸溜所(とはまだ呼べないか??)を発見出来るのか、目を凝らして蒸溜所を追ってみた。 Ladyban駅を出発して直ぐに進行方向右側へと大きくカーブする。と同時に左側に林が。林を超えると直線になるが、しばらくすると踏切を通過する。その踏切を超えたら進行方向左側を良く見ていて欲しい。丘の中腹に小さな農場風の建物が見える。それがLadybank蒸溜所の予定地だ。時間にしてわずか10数秒しか視界に入らないが、全体像ははっきりとわかる。前回は屋根が完全に外されていたが、今は屋根も戻っている。ただ、パゴダ屋根のように、いかにも蒸溜所然とした雰囲気は無い。別段、稼働している様子も無く、蒸溜に必要なボイラー用の煙突も見えなかったように思える。本当に稼働するつもりがあるんだか、この段になっても不安になってしまう・・・。 もしかしてGoogle Earthなどで場所が分かるんじゃないかと思って調べてみたが、残念ながらGoogle Earthはこの近辺の写真の解像度が悪くわからない。だが、Miscrosoft VEだと建物の屋根までわかる程だ(撮影された時期はいつ頃かわからないが・・・)。これを使ってDaftmillとの近さを調べてほしい。この地方に全く蒸溜所が何十年(100年以上?)無かったというのに、この数年でこんなにも近距離に二つの蒸溜所が現れる(一つはまだ予定だが・・・)とはどういう巡り合わせなのだろう?? http://www.flashearth.com でMicrosoft VEを選択し、右下の座標で、Daftmillは北緯56度17分50秒、西経3度6分16秒Ladybankは北緯56度17分20秒、西経3度5分5秒を目指してみてほしい。そこにある建物がそれぞれの蒸溜所である(Ladybank蒸溜所のすぐ下には線路が写っている)。 |
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Fifeの蒸溜所 其の二 |
2007.1.16 |
| この二つの蒸溜所、経営形態が全く逆なのが面白い。Cuthbert氏によれば、Daftmillは未だに一切の販売計画は無く、利益を生むつもりないのだという。したいときに蒸溜をし、本業である農業が忙しくなれば休止する。「高くつくが、これが我々兄弟のホビーさ」と笑う。当然、樽売りをする予定も無いらしい。去年と同様、未だにスコットランド人が一人も訪れないことをぼやいていた。今年、ようやく地元のコミュニティー新聞に記事が小さく載ったとか。「むしろ時々Ladybankだと思って勘違いしてここにやってくる奴らがいるんだよ」と笑う。去年、Ladybankの話を聞いたら、「何も無い。敷地はこの森の奥になるはずだが、とんと話を聞かないよ」、と困った顔を見せていたが、今回は「どうやらようやく農家の改築にこぎ着けて、今では屋根をはがしにかかったらしい」という。 場所を教えてもらい、土屋氏と向かう。「踏切まで行けば、行き過ぎだ。そのちょっと前に、ゴミバケツがおかれたところがある。そこを曲がるんだ」。注意しながら走るものの、結局踏切まで来てしまう。慌ててUターンし、それと思しき農道を曲がる。舗装もされておらず、今にも荷馬車が現れそうな牧歌的な道。そんな道を500メートルも走っただろうか。ようやく目の前に、納屋と、それより少し丘上に農家が見える。辺りには新しい建築資材が置かれ、納屋の屋根が抜けている。土がぬかるみ、それら資材に泥が所々ついている辺りがいかにもスコットランド的。「ここ・・・か?」といぶかしがりながら、二人で辺りを歩いてみる。とてもではないが、蒸溜所の片鱗も無い。「納屋の改築中です」といっても通じそうな程度。二人とも自信が持てず、歩いて家を目指す。車でもよかったが、その辺でぬかるみにはまったりしたら大変だ。 玄関のドア越しに中を見るが、人が住んでいる風は無い。家具材らしきものがほとんど見当たらないのだ。どろどろの靴が玄関脇にあるので、誰かいるのだろうと思いベルを押す。暫くしても返事が無い。そのうち、階段を誰かが下りてくる。小太りなひげ面の男性。昼寝でもしていたのか、少し不機嫌な顔。その顔つき、身なりでスコッツでないのがわかる。怪訝そうに用は何かと問いかけてくる。「ここが、例のLadybankか?」と、問いかけると、「そうだ」と。我々が何者かを説明すると、即座に「すべての用件は本部を通してくれ」とピシャリと言われてしまった。訛りからして、ドイツ人だろうか?土屋氏がどう思ったかは定かではないが、どうも個人的にはきな臭い印象を受けてしまう。シンジケート的とでもいうのだろうか?ともかく、これでは埒が明かないと思い、場所の確認ができただけ良かったと、納屋に戻って辺りを歩く。土屋氏は何枚か写真を撮っている。敷地(とはいっても、広大な農地だが)の奥に小川が流れていて、そこに橋が架かっている。車は通れそうに無いものの、人が通るにしては鉄製でやけに頑丈そうだ。その先は森。不思議な場所である。 長居をしてもしょうがないからと、車に乗り、もと来た場所を戻る。横に線路が併走している。傾き加減の陽を見ながら出口に向かって走っていると、前からバンが入ってきた。中には若い男性が数人乗っている。そのどれもが大陸的な顔。どう考えてもすれ違えない農道で立ち往生。相手が動く気配が無いので暫し意味も無く、脇の鉄条網へ車を寄せてみる。その内、勢いよくバンはバックをし、道を譲ってくれた。本当のことを言えば、あの瞬間、車から男たちが降りてきてなにか詰問でもされるかと、ヒヤヒヤしていた。なんせ、農家でのあの応対である。かなり秘密主義的らしく、バンの連中もこんな訪問者をいぶかしく思っていたに違いないからだ。「シンジケート」の語がまたまた頭をよぎる。出口まで車を走らせ、すれ違いざま手で感謝を表す。何のことは無い、向こうも笑顔だ。ほっとして、先ほどの踏切を渡る。それでもバックミラーを気にしてしまう。心持ち、スピードをだし気味にLadybankの街を目指していたことを助手席の土屋氏は気がついていただろうか・・・? Ladybank蒸溜所(予定地!)は、EdinburghからSt.Andrews、Dundee、そしてAberdeenを結ぶ東部海岸線の線路脇にある。もしこれ読んでいる人で、この路線に乗る機会がある人は、Ladybankの駅をDundee方面に出たら、右を見ていてほしい。駅を出て暫く、直線に差し掛かってすぐに小さな踏切が見え、そこから農地が広がる。もしそこに改装途中の農業建築物が見えたらそこがLadybankの可能性は高い。 |
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Fifeの蒸溜所 其の一 |
2006.11.27 |
| アイラツアーの後、土屋氏と一緒に訪れたFifeの蒸溜所2つについて、その近況を、2回に分けてお送りしたい。
ここ数年で規模に違いはあるものの、様々な独立系の蒸溜所が増えてきた。シングルモルトがそれ自体としてのマーケットを確保し、大手が造るブレンド・ウィスキーにその活路を見出さなくてもよくなったことがその背景にある。そんな中でも取り分けの異端児はスコットランド東部のFifeに2つの蒸溜所だ。Fifeといえば、Edinburghの真北、そしてDundeeのすぐ南にある一地方である。ゴルフの聖地、St. Andrewsもこの地方にある。ウィスキーの生産区域で言えばLowlandだが、この地方は長らく「モルト・ウィスキー真空地帯」であった。少なくとも、通常我々が目にするようなモルト・ウィスキーはここで造られたことはない(グレーンで言えば、Cameron Bridge蒸溜所がある)。かの有名なブレンデッド・ウィスキーで知られるHaig一族の故郷であり、なおかつEast Lothianに次ぐ一大大麦生産地であるにもかかわらず、である。EdinburghやGlasgow等の大規模消費地に近すぎず、遠すぎずというのが災いしたのかもしれない。 そんな地域に、「台風の目」として現れたのがLadybank蒸溜所建設計画だった。出資者を募り、完全会員性という、日本ならばさながらインターネット関連会社の創立計画のような大胆な発想だった。ウィスキー関連雑誌にその事業計画を載せ、話題をさらったが、それから数年、まったく音沙汰が無い。そうこうしているうちに、Fife第二のモルト蒸溜所(いや、むしろ第一か?)で、完全なダークホース、Daftmill蒸溜所が既に蒸溜を始めしまった。この初秋、一年ぶりにDaftmillを訪れたときにCuthbert氏は既に去年12月に蒸溜を始めたことを教えてくれた。 |
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欧州で深刻化する飲酒問題 |
2006.10.27 |
| 欧州では若者の間での飲酒問題が深刻化しており、EU域内だけで5500万人がアルコール摂取量が推奨値よりも高いという。現在EUは加盟国数25,人口にして4億6千万を数えるので、約8人に一人が問題を抱えていることになる。ちょっと恐ろしい数だが、ここにいくつかの統計的な数字を挙げてみたい。
1. 毎年、飲酒に絡んだ死亡者数は190万人に上り、うち飲酒運転事故による死亡者数は1万人に達している。 2. 欧州では若年者に対しての飲酒が寛容なこともあり、平均して13歳辺りから飲酒を開始しているという(合法・非合法に拘わらず)。飲酒は15〜29歳の男性における死亡原因の四分の一を占め、女性では十分の一となっている。 3. 飲酒はEUにおける死亡・疾病原因の3大要因の一つである。 4. アルコール消費量を人口数で頭割りすると、EUの人々は一年辺り、純粋アルコール換算で11リットルを消費している計算になる。 5. 中でも英国(とりわけイングランド)およびアイルランドの飲酒問題は深刻で、基準の取り方にもよるが女性の3人に一人はヘビー・ドリンカーの区分に入るという。 スコットランドではこの3月から公共・商業施設(パブやレストランを含む)で全面禁煙が実施され、イングランドも近く追従することとなっており、欧州の他の区域でも同様な動きが見られる。英国の成人男性の喫煙率を見ても25%近くと(日本はおおよそ45%程度)、禁煙率が高いことが知られているが、こと飲酒に関しては大きな問題を抱えているようである。 |
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緑のウィスキー? |
2005.12.20 |
| 時々、独立瓶詰系から緑色のウィスキーが出てモルト好きを楽しませるが、その原因は諸説紛々。ダボ打ちの時に廻りに巻く布が入ったせいだとか、何らかの理由で金属が中に混入したからだとか。実は自分も今年、興味深い緑のウィスキーに巡り会った。中身はなんとラフロイグ。きっちりと緑色をしていたが、味はなかなか。残念ながら市場に流れた物ではなく、ある知り合いから少量頂いた物だった・・・。が、今回の話はウィスキーそのものに由来する「緑」の話ではない・・・。
今年のウィスキーの輸出は好調で、既に上半期において2000億円程のウィスキーが海外向けとして売られたという。04年度と比べて3%程度ののびらしい。これは極東に負うころが多いようで、特に現在ウィスキー市場規模で11位(44億円程度の市場規模)に位置する中国マーケットは去年に比べ二倍強の成長を遂げたらしい(ちなみに1位はアメリカで300億円程度)。聞くところによると中国は特級時代の日本と同じように、ウィスキーを飲むことがステータス、とのことらしいが、その上にはブランデーが鎮座しているようだ・・・。この辺りも20年ほど前までの日本にそっくりかも。ただし、成功の証としてのウィスキーも、中国人は緑茶と混ぜて飲んでいるらしい。聞けば、ウィスキーをロンググラスにお茶の葉、そして氷と混ぜ、ゆっくりとした夜長、歓談の友とするらしい。なんとも優雅な話である。 こんな話を聞けばモルト好きは激高しそうだが、業界団体であるスコッチウィスキー協会のD.William氏はいたって冷静、いやむしろ好意的だ。「これは現在、中国において最もトレンディーなドリンクスタイルであり、我々ウィスキー業界にとっては非常に喜ばしいものだと考えている」とのコメントをしている。去年の年末はCardhu騒動でもめにもめた業界だが、実際これはスペインでの消費が爆発的に増加したことに起因したもの。更に元を辿れば、そのスタイルはコカコーラとのMixing。Mixabilityが今年の業界のキーワードになったのもここに理由がある。そう考えれば、高度成長を続ける巨大マーケット中国においてウィスキーがMixingスタイルで飲まれているというのは、この上もないチャンスなのかもしれない。極東の某国のように、加水もせずにちびりちびり、しかも中身はオールドボトル・・・なんていうどう考えても先細りのマーケット(いやいや、最近のつり革広告なんか見てると、実は一生懸命がんばってるもんです!)に比べれば中国がいかにバラ色の市場だかがわかるというもんである。 お茶とアルコールの組み合わせ・・・といぶかしがる諸兄も多いかもしれないが、実はSuntoryはこの組み合わせをリキュールとしてアメリカ市場に打って出ている点である。"Zen"という名のお茶のリキュールがそれだが、なんでも京都の丸久小山園のお茶を使用しているらしい・・・ん?これ、日本では「茶々(Sasa)」という名で売られているものと同じものか・・・。アメリカでの緑茶の人気は比較的高いが、飲み方は日本人からするとかなりびっくりなのもので、砂糖(ガムシロ)を入れて甘くするのが普通。10年近く前アメリカに住んでた時、Arizonaという当時人気だった清涼飲料が中国風の絵を描いたGreen Teaフレーバーを売っていたが(今でもあるはず・・・)、最初、口に入れてその甘さに吐き出しそうになったのを覚えている。そういう意味では、緑茶のリキュールというのは、日本以上にしっくりくるのかもしれない。さすがにSuntoryのZenの紹介サイトでも、ウィスキーとのMixingは提案されていないが、案外これを中国に持ち込めば売れるかも。 |
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G.
Grantの行方2 |
2005.12.10 |
| その国とは…。そうイタリアである。ご存じの方も多いかもしれないが、イタリアでは熟成年数の若いウィスキーが好まれて飲まれ、その中でも特にG.Grant5年は一番株である。それが今回のAlliedとの合併によって、新たなウィスキーが加わり、全体としてペルノリカール社の市場占有率が独禁に触れるレベルに達しているというのである。「別にイタリアの事なんだから関係は無いだろう」と思われるかもしれないが、EUが定めるルールに従うと、それが同じEU域内にあるChivas社に影響が及ぶというのである。つまりEU域内の国において市場占有率がある一定レベルを超えれば、それを所有するEU域内の会社はその状況を改善すべく、一部を解体しなくてはならないというものらしい。つまり、現状を改善するにはG.Grantを切り離すのが一番であると言うことらしい(おそらく、他のAllied+ペルノブランドはどれも単体の切り離しで占有率を基準以下まで下げる事ができないのだと思う。それだけG.Grantはイタリアでは巨大なのかもしれない)。
G.Grantのブランド力を考えれば、すぐにでも買い手がつきそうなものだが、そのブランド力故か、売却希望価格が高すぎるらしく、なかなか買い手が見つからないというのが実情だ。実際、R.パターソン氏がマスターブレンダーをつとめるWyte&Mckyeが動いたようだが、価格があまりにも高すぎると言うことで断念をしている。 面白いのはその価格の内訳である。正確な価格はここには出さないが、G.Grantのスチルマンであり友人であるデービッドによると、売却希望価格の内、ブランド、つまりG.Grantという名前やそれに関わるイメージ等の価格が全体価格の約八割以上を占めるのだという。熟成中のウィスキーがブランドに対する価格の約五分の一以下、蒸留所そのものはわずか百分の一程度にしかならないらしい。G.Grantが築き上げてきたイメージを考えればわからなくもないが、蒸留所そのものの値段がわずか百分の一程度とは・・・。ウィスキー飲みにとっては、ウィスキーと、その蒸留所は不可分な存在。とはいえ、ビジネスの世界では、製品を作り出す工場は、単に工場にすぎない、ということなのだろうか?本当のことを言えば、この話を聞いたとき、正直驚いたと同時に、筋が通っている話だと思えもした。というのは、業界の動向を目にするにつれ、ウィスキー業界がいかに「ワールドビジネス」であり、飲み手が感傷的に語る「こだわり」等についていかにドライに考えているかを、これでもかと言うほど目にしてきたからだ。所詮、工場は工場なのかもしれない。 最後に、同じく以前Chivas Bros.の所有物で、最近売却されたBenriachの話を。 新オーナーの元、Peaty Benriachが出現して話題を呼んだが、なかなか好評を博しているようで、秋口にChivas Bros.から同社所有分の熟成中のBenriachを追加購入している。つまり、Benriachの売却に関しては、ブランドと、蒸留所がほとんどであっただろうということだ。さてさて、G.Grantの場合はどうなるのであろうか? |
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業界再編成とG.Grantの行方 |
2005.10.21 |
| 日本ではプロ野球の再編問題がまた再燃しているようだが、今年はスコッチウィスキー業界にとっても大きな再編成の年となっている。 業界二位のPernod(Chivas Brothers)は今年半ばに業界三位のAlliedの買収を発表。 それだけでも大ニュースだが、両社は互いにあまりに巨大すぎるが故に、その買収に関してはアメリカ合衆国連邦取引委員会および裁判所から待ったがかけられていたが、7月にはアメリカFortune Brand社にSauzaテキーラ等を含むいくつかのブランドを売却する形でゴーサインが出された。これと同時に、アイルランドきっての蒸留所であるBushmillsを業界最大手であるDiageoに売却。更に、Chivasの有力ブランドであるGlen Grantの売却を検討中である。実際、Whyte & Mackay社はこの話に興味を示していたが、9月半ばまでに日本円にして150億円という提示額に不満を示して、買収を諦めている。 しかし、何故ChivasはGrantを切り離すのだろう? Grantを売却するという話そのものはFortune社へのSauza等の売却が決定され、米連邦取引委員会からのゴーサインが出た後の話である。ウィスキーという範疇において独禁に触れたからだろう、というのは何となくわかるとしても、それでは何故(例えば)Allt-a-Bhainneではないのだろうか?こんな事を書けば「当たり前だろ、Allt-a-Bhainneなんてもう数年も『休眠』しているじゃないか!」と言うお叱りを受けそうである。 ではBravalとセットはどうだろう?更に大奮発してCapaerdonichは?まぁ、どれも休止中であるのであまり変わりがないと言えばそうかもしれないが・・・。 無論、まさかG.Livetを売りに出すというのは誰でも考えられないと思うだろう。確かにアメリカでのG.Livetの売れ行きはChivas社の大きなウェイトを占めるだろうし、DFS(免税店)での売れ行きも無視できない(事実、LVMHが巨額を投じてG.Morangieを買収したのも、LVMH社が持つDFSの広範な品揃えに、この業種の重要アイテムである高級酒を加えてより完璧なものにしたいという意図だからだという話がある)。 Strathislaは蒸留所の建物自体が歴史的資産として大きな意味を持っているし・・・。では、Longmornはどうだろう?通好みのお酒だと言われたって、実際には世界のどこでも「一位」になるほどの知名度はない。どうせ兄弟分のBenriachは切り離されたわけだし、Longmornが一番おいしいところなんじゃないかと言う気もする・・・。 Longmorn蒸留所を切り離せない理由はいくつか考えられるが、一つの理由は、Benriachの現オーナーであるIntra Trading社との契約。 Caperdonichもそうであるが(いや、CaperdonichはBenriach以上に)、兄弟蒸留所は多くの場合、一部の基礎的な器機やシステムを共有していることが多い。水源、冷却用水の工程後処理施設などなど多くのものは切り離せない状態にあることが多い。その場合、その兄弟蒸留所が違う会社に所有されている場合、売り手が長期の契約を交わして共有する場合があるのだ。これは何も蒸留所だけではなく、ボトル詰めされるブランドそのものもそうである。であるならば契約上の制約から早々とLongmornを切り離す訳にはいかないだろう。 実際、Intra Trading社は9月にPernod社から更なる(ウィスキーとしての)Benriachの買い増しを発表していたので、Pernod社は未だにそれなりの量のBenriachを所有しているようだ(またそれに合わせてElginでの新規熟成庫用地の購入をIntra社は行っている)。 実際のところ、Whyte & Mackay社も今回の合併劇の中でPernod、Allied両社の所有する蒸留所が更に売却される可能性があるとして、意気込んでいるらしいので、Longmornだってありかもしれないが(実際、水面下で具体的な交渉中との話もある)・・・。 実は、G.Grant切り離しの本当の理由はG.Grantそのものが抱えている、ある事情によるものなのである。それは遠く芸術とファッション、そしてスポーツカーの国からやってきていた(あ、もちろんワインも)・・・。 その点について次回はお伝えをしたい。 |
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アイラ発(初?)三回蒸留ウィスキー"Trestarig" |
2005.09.19 |
| Trestarigという酒をご存じだろうか?アイラでは長らく試されたことのない三回蒸留のウィスキーの名前である。まぁ、ウィスキーとは言ったものの、ついこの前蒸留が始まったばかりだから、ニューメークのスピリッツを持ってウィスキーとは呼べない。しばらくはボトル詰めされることもないだろうし、厳密には2008年あたりまでは製品化されることもない(スピリッツとして売り出されるのならば別だが・・・)。しかしながらアイラにおいて三回蒸留のスピリッツが作られたことの意義は大きいかもしれない。 (以下は英主要新聞Timesを基にしている) Bruichladdich蒸留所の社長、M. Reynier氏はM. Martinが18世紀初頭に記した紀行書"A Description of the Western Islands of Scotland"(「スコットランド西方諸島についての記述」という訳にでもなろうか?)の中に以下のような文を発見したのだという:「"空気は適度に冷たく、湿度を含む中、地元の人間は気付け薬としてTrestarigを服用している。("the air is temperately cold and moist, and for the corrective, the natives use a dose of trestarig.")」 Reynier氏の研究によれば、TrestarigはTrece-arak(トレース・アラク)と発音されるらしい。ここでピンとくる人がいるかもしれないが、Arakとはアラビア語で蒸留酒を意味する。また、Trestはゲール語で「三」を意味する"Treas"を意味するのではないかと推察する。更に、当時まだ力を持っていたバイキング達はこれを古代スカンジナビア語のTrost、つまり「守り」とarakとの造語と考え、風邪や病気、痛みから身を守る「守護の酒」と考えていた節があるという。 ゲール語のTreasが本当の語源だとすれば、三回蒸留というのが一番納得のいく解釈であるのは間違いがない。Reynier氏と、同蒸留所の名物所長J. McEwan氏はこれをヒントに、おそらくアイラで何百年と作られたことがないであろう三回蒸留のスピリッツを作り出したのである。特筆すべきその樽詰め濃度。三回蒸留だけあって80%を軽く上回るが、Trestarigの当時の役割であった薬用酒としての意義を失わない為に、なんと84.5%で樽詰めされているのだという。何とも恐ろしい話である。確かに、こんなスピリッツが何年樽で寝むっていようと、いったん樽を出て、人の口に入ればたちまち寒気も、もっといえば悪霊さえも飛び出していってしまうかもしれない。 無論、業界内には(自分を含めて)『また、そういうコマーシャリズムぷんぷんの製品をつくりやがって・・・』というような冷めた見方もある。84.5%だって『単に樽がないだけじゃないのか?』なんて声も漏れ聞こえる。確かに、業界の一部では20数年前に樽の供給が全般的に落ちていた時代があり、その時代は度数を高めにして樽詰めを行い、使う樽の総量をコントロールしていたという事も知られている(実際、某超大手メーカーの長熟ものシリーズの多くのレンジが20数年超にもかかわらず、度数が高めで且つドライなものが多いのはそのためだとも言われている)。本が刊行されたのが正確には1703年と言うことなので、当時の人間がこの酒を熟成させていたかどうかも疑わしい。ウィスキースクール、斬新なパッケージデザイン、豊富なポートフォリオ、超ヘビーピーティーウィスキーなど、話題に事欠かないBruichladdichだけに今回のスピリッツも曰く付きだが、まぁそれでも面白い酒がまたアイラから発信されることだけは間違いない。 |
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Mixability |
2005.09.07 |
| 今年3月あたりに、どうやらJ&Bブランドとして、「マイナス○×℃」などという真っ白なウィスキーが近々販売されるかも、という情報を耳に挟んでいた。が、その後、北米に行ってみたり、日本に滞在していたりと随分と長いことその後について耳にすることがなかった。
Edinburghに帰ってきてまずRMWに戻ってみたが、棚にその真っ白なウィスキーはなくがっくり。一応、噂を聞いた頃に、プロトタイプを試飲したという人間に会ってなかなかのものだという事を聞いてはいたのだが、店の人間は誰も試したことがないという。ウィスキーショップやオーセンティックなパブにおいてありそうな物でもなく、はたまたクラブに足を運ぶのもおっくうだ・・・などと考えていたら、たまたま友人の試飲会に参加する機会があり、そこで現物と遭遇。その名も「J&B-6℃」である。 |
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| 確かに、透明だ。完全無色、と言いたいところだが、陽にかざして目を細めてみれば、ほんの少しだけ色味がある。だが、それもスペイ川の水よりも遙かに薄い(スペイ川に限らず、多くのハイランドの水は薄茶色をしている。理由は当然。ピートの影響である)。さぞかしオゾマシイ味がするのだろうとグラスに口を近づけてみるが、いっこうに嫌みな匂いがしない。見た目は疲れた樽から出てきた、未熟成のウィスキーのようだが、そういった、スピリットさがほとんど無いのだ。味の方もほのかに甘い。薫りは強くないし、フィニッシュも短い。ウィスキーとしては取り立てて面白くはないが、もともと「○×のウォッカ割り」に馴れた若者に、ウォッカの代わりとして飲んでもらおうという魂胆が見え見えの製品、むしろ妙にウィスキーっぽさや熟成感が出てしまっては困るのかもしれない。 |
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| Loch Dhuで真っ黒けっけなウィスキーを市場投入して顰蹙を買ったDiageoだが、今回は他社も静観を決め込むかもしれない。というのも、この何かの混ぜもののベースとして売れるウィスキー、いわゆるMixiabilityというコンセプトが結構この業界で流行っているのである。つい先日行われたRMWの夏のお祭り、Whisky
FringeでDiageoはその豊富な商品を自社ブースに揃えるよりもロンドンの有名バーのバーテンダーを従えてやってきて、新しいウィスキーカクテルを提案していた(が、やはり保守的な参加者が多数いることを考慮したのか-6℃は並んでいなかった)。 |
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| もっと驚きなのはWilliam Grantだ。Monkey Shoulderというよくわからない、いわゆるVatted
Whisky(但し前回お伝えしたように今ではこのジャンルは「Blend Whisky」という名で統一されている)を近頃市場に投入したのである。このウィスキー、ボトルの形はずんぐりとしたダンピーボトル。肩口に、銘柄通り、猿のメタルプレートがおごられている。猿は三匹いるので、日本人の目からするとまるで日光のお土産みたいである(無粋ながら・・・"見ザル言わザル聞かザル")。色は比較的濃いめで、年数表記はない。おそらくカラメルが添加されているのだと思う。やはりどこか、都会的な感じのするバーのバックバーに置いてあればかなり見栄えがするだろう。その点で、Compass
Boxが新世界ワインをイメージしたとすれば、Monkey Shoulderはどちらかというとバーボン的な「洒落た、だけどどことなく武骨な」ボトルデザインである。 |
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| 名前の由来は、ボトルの裏書きの受け売りだが、なんでも昔の老練スチルマン達の姿勢が永年の労働でまるで猿の肩のようになってしまったことに由来するのだという。名前そのものはウィットがあって、ボトルデザインや商品コンセプトと旨くあっているが、なんだかその起源はいかにもトラディショナルなウィスキーが好きそうな話である。 まだ試したことは無いものの、実はこれ、ウィスキー飲みには非常に興味深い中身が入っている。名前は証せないが、William Grant社製であると言うこと。三つのシングルモルトが入っていること。そしてその内の一つが異常に高い割合で入っていること。最後に、それは普通は飲めないこと。以上でおわかりいただけただろうか?そうMoneky Shoulderはそれ自身がとてつもなく興味深いMixabilityを示しているのである・・・。 |
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Blended
vs Single |
2005.08.10 |
| 良く食べ物のラベルに「Finest」やら「厳選された」などの語句が並んでいるが、これらが殆ど意味を成さないということは周知の事実だろう。英国では良く飲料水などの広告に"Now
juicer than ever!"(今までにもましてジューシーな飲み物です!)等という文言が踊るが、どこかのコメディアンが、「こんなの、スプリングウォーターなんかでもやるのかね?"Now
waterer than ever!!(今までにもまして水っぽいスプリングウォーターです!!)ってさ ・・・」なんてコメントしていたが、まったくもって言い得て妙である。
ウィスキーもご多分に漏れない。いや、むしろウィスキーの広告こそこういう「誇大広告」の元祖かもしれない。ブレンドウィスキーの広告の歴史を紐解けば、Oldest, Choicest, Finestなんて語句が次から次へと出てくる。まぁ、結局は嗜好品、しかも高級品、更にはブランデー等に比べれば歴史の浅い物とくれば、どうにかこうにか自社ブランドのイメージを作り出すのに腐心するというのはわからないわけでもない。 ところが、こんなウィスキー業界の広告手法にとって、2005年は重要な年となりそうである。というのも、業界団体であるScotch Whisky Associationが"Blended"という語句の意味を既存のものから変化させ、より広範な範疇を指す、またより一般的な形容詞として使用するというガイドラインを策定したからである。 ウィスキー好きの方々には当たり前と思われるような「Single」、「 Blended」、「 Vatted」、「 Pure」などの形容詞は、「部外者」にとっては理解し難いものだ。Single MaltとPure Maltはどちらも「純粋さ」をイメージさせるし、BlendedとVattedは「何かが混ぜてある」といった意味があるが、ではそれらの違いはいったい何なのかが全く伝わらない(そういう曖昧さが重要であったりもする)。結果的に一昨年から去年にかけて業界で大論争(ひいては国会にまで持ち出された)を引き起こしたCardhu Pure Maltに代表されるような問題をはらんでいることは随分前から知られていた。 このような事態を受けてSWAはSingleは単一蒸留所のモルトないしはグレーンウィスキーのみを、Blendedは二つ以上の蒸留所のウィスキーが混ざったものを指すという至極当然なガイドラインを作成したわけである。つまり、Singleは、Single Maltか、Single Grainという使用法だけであり、Blendedはそれ以外を指すことになった。結果的に、Pure, Vattedなどの語句は使用を避ける様に指導がなされている。好例として、Johnnie WalkerのGreen Labelがある。以前はボトルデザインは緑であったものの、名前としてはJohnnie Walker Pure Maltとして売られていたが、現在では名前もJonnie Walker Green Labelという伝統的なカラーコードに変化した。 これで随分とすっきりしたではないか・・・と思えなくもないが、よくよく考えるとますます事態が複雑になってしまっていると考えられなくもない。例えば、ウィスキー飲みにはBlendedはmalt + grainとして長いこと理解されてきたが、今後は「Blended Whisky」はその構成成分が全てmalt whiskyだろうと、grain whiskyだろうとBlended Whiskyとして売られるわけである。方や£15で売られているBlended(malt + grain)があるなかで、£150のBlended (vatted malt)もあるわけであり、この辺をお客さんに説明するのはなかなか骨が折れる。実際、ショップで売っていても、観光土産程度で買い求めに来る人々にこの辺を説明するのは至難の業だ。それならばいっそ、「Single, Vatted, Pure, Blendedは違うものです」 という半ば嘘的な説明の方がよほど聞く耳を持ってくれるだろう。 また、それ以上に深刻なのはSingle Caskの問題だ。Single Maltというと、あたかも「一つの蒸留所の一つの樽」というイメージがつきまとう。実際には通常のSingle Maltは単一蒸留所の数多くの樽を混ぜており、その中には全く個性の違うもの(特に樽の種類が違う場合)が含まれている事もある。以前にも述べたが、問題の根本は、singleの語句がmaltを形容しているのではなく、通常は現れないdistillery(蒸留所)という言葉を修飾していることにある。これがもし、Single Distillery Whisky(あんまり語呂は良くないが)とでもしてあれば、Single Caskというカテゴリーがあってもあまり不思議ではないだろうし、「Double Malt」なんていうありそうでない珍カテゴリーを探しにくるお客さんもいなくなるはずだ(実はこれ、意外に多い)。とはいえ、こんな大変革を行えば業界中大混乱に陥るのは目に見えているし、現実的ではないのはわかっているのだが・・・。 その他にも、地域名が入ったウィスキーの場合、そのウィスキーを構成する全てのウィスキーがその地域産でなければならないということや、ウィスキー名に蒸留所の名が入っている場合も同様に100%その蒸留所からのものでなくてはならないといった指針が示されている。面白いのは、Hazelburn等の過去にあった蒸留所名を冠したウィスキーである。これらについては既にそれらの蒸留所の稼働が停止されてウィスキーそのものが市場に出回っていないようであればOKであるらしい(オールドボトルの多い日本の場合どうなるんだろうか?)。ただし、あたかも蒸留所が存在するような名前、例えばGlen BurnやFinlaggan等は灰色となるらしい。この辺は日本ではあまりお目にかからないかもしれないが、英国ではスーパーマーケットブランドとして一般的であり、ある程度の混乱があるかもしれない。 |
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Anchor
Brewing vol.2 |
2005.07.08 |
| 今回はウィスキー造りと、彼の人となりについてお話をしたい。とはいえ、蒸留器や工程そのものが見られない以上、彼から聞いた話の中から面白かった点をお伝えするのみだが・・・。
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まず最初に驚いたのはライ麦が大麦と同じように自らの酵素の力で糖化が行われるという点。従って他のグレンウィスキーとは違い、大麦を使わず、ライ麦100%で蒸留ができる。知っている人には当然のことかもしれないが、このときまでライ麦が糖化酵素を持っていることを知らなかった・・・。また、このこともあって蒸留器は連続蒸留器ではなく通常のポットスチルである。ジョージ・ワシントンは18世紀の人なので、連続蒸留器は当然なかった(連続蒸留器の登場は19世紀中頃である)。この事を考えれば当然といえば当然。蒸留器は二つで、一つは500リットル、もう一つは
1000リットル。かなり小さめなものである。上部と下部で作ったメーカーが違うとのことで、下は我がRothes村の世界的企業Forsyth
、上はバーボン用の蒸留器を作るアメリカ南部のメーカーのジョイントなんだそうである(名前は失念してしまいました。申し訳ない・・・)。「お前さんが蒸留業を営んでみようと思うんだったらこの方法はいいぞ。金がかからない。」・・・だとか。樽は自前のクーパーを持っているそうだ。樽の処理はチャーではなく、トーストだそうである。熟成は全てこの社屋内で行うそうだが、夏場のひどい乾燥気候はどう影響するのだろうか?(San
Franciscoは冬はしっかりと雨が降り、夏は全く降らないという強い地中海性気候。気温に関して言えば、一年中を通して酷暑もなければ極寒もない)。 |
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| 興味深かったのは、彼がスコッチウィスキーの伝統的な製法の一点に大きな疑念を抱いていることだった。彼によると、大麦を使用したウィスキー造りにおいてなぜ「ビールを造る」という「余分な」工程があるかと言うことだった。アメリカ人らしい大きな身振り手振りで、こういう金と手間のかかる事をするのは全くナンセンスだといわんばかりに同意を求めてきた。実はその時は「確かに・・・」なんて半ば納得した風な表情をしていたのだが、後になってよく考えてみても彼の言っているポイントが今ひとつはっきりしない。「ビールを造る」という意味がよくわからないのだ。当然ライ麦だろうと大麦だろうと、糖化液をイーストで発酵させるのは同じである。想像できる一つのケースは、蒸留という工程をかませれば、なにも糖化液を濾過しその上でイーストを添加し発酵させる必要がないのではないか?という見解である。実際、彼によればAnchor蒸留所では「ビール造り」の工程はないし、実際やっても味に変わりが無いのだという。しかし、疑問は残る。マッシュしたものをそのまま発酵させれば、おそらく出てくるローワインは濾過しなかった場合に比べて相当味が違うものになるはずである。蒸留という過程が基本的には濃縮工程であることを考えれば、また「澄んだ糖化液」を多くの蒸留所が発酵作業前の品質判断材料に入れていることを考えれば上記のような発言が果たしてこのことを意味しているか疑問である。 |
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| Maytag氏は相当な研究好きで、Potreroを製品化するまでに様々な研究や試行錯誤を自らの手で行ったのだという。事実、オフィスにはウィスキーではないにせよ、古代エジプト人が史上初めて作ったとされるビールの原型になる飲み物を再現したという飲み物(ビールそのものと呼んでも良い)と、その原料となった当時の人間が作っていただろう「かっちかちの」パンが飾ってあった。これらも彼が独自に研究をして作り上げたものだという。
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| 氏が面白いのはこれだけではない。実は彼、なかなかの日本通なのである。 インタビューを終え、町中へと帰ろうかとすると、彼は「自分も帰ることだし、家の方角だから送っていってやる。」という。外に出て、彼の車を待つと、イメージ通り、Cadillac のSeville。巨大なボディがいかにもアメリカの「高級観」を具現化したような車である。が、中に乗り込むといきなりiPodが。初老の紳士が iPodとは、これはSan Franciscoらしいと言うべきか。しかし、彼はいきなり驚くべき「曲」をかけ始めた。なんと「平家物語」の弾き語りである・・・。しかも彼はスピーカーから聞こえる声と一緒に「絶えずして・・・」と口ずさんでいる・・・。驚いて彼をみると、いかにも狙いはばっちり決まったとばかりに笑顔を見せ、「実はこういったものに昔から興味があったのだ」という。 車は次第に帰宅に向かうビジネスマンで忙しい市内へと入ったが、そこで彼はこんなことを口にした。「実は、あんたが生まれる遙か前、俺は日本に行ったことがあるんだよ。」 1950 年代初め頃、Maytag青年は自転車で世界の様々な地域を旅していたそうだ。1951年に欧州、そして52年には日本に。日本では約一年をかけ隅々まで走ったそうだ。終戦からまだ十年にも満たない日本は彼には相当な衝撃として映ったらしく、「51年にヨーロッパに行ったときはどこもかしくも舗装されていたが、日本に来てみたら舗装されている場所はむしろ少ないくらいだった。こんなにも貧しい国と自分の国が戦っていたのかと本当に強い衝撃を受けたよ」としみじみと語ってくれた。当時の記憶はなかなかのようで、自分の父が浜松出身であることを告げると、「あぁ、ウナギが有名なところだろ?」とうれしそうにつぶやいていた。 そうこうしているうちに、市内中心部、Union Sq.に。ここで車を降りることにする。一言、二言言葉を交わし、アメリカ流の力のこもった固い握手。夕暮れの忙しい雑踏に大きな車が消えるのを見つめる。当初の目的であった蒸留所の見学そのものは果たせなかったが、なにか心に暖かいものが残った一日であった。 |
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Anchor
Brewing vol.1 |
2005.05.31 |
| 前回はアメリカのビール事情について少しお伝えしたが、今回と次回はSan Franciscoにあるマイクロブリューワリー、Anchor Brewingについてお伝えしたい。といっても「醸造所」としてのAnchor Brewingではなく、「蒸留所」としてのAnchor Brewingについてである。ご存じの方も少なくないと思われるが、この「蒸留所」は非常に特異なウィスキーを作っている。Anchor BrewingのオーナーであるFritz Maytag氏はマイクロブリューワリーとしてAnchorブランドが名を成した後、彼の永年の希望であった、18世紀のアメリカ建国時代のウィスキー造りに傾倒する。アメリカ合衆国初代大統領G. Washingtonも作っていたという18世紀のアメリカンウィスキーとは、ライウィスキーのことを指し、氏が作り出そうとしたウィスキーもこのライ麦100%のウィスキーであった。そして出来上がったのがOld Potreroウィスキーである。 | ||
そんなことを力強い話を聞きつけていたので、早速連絡を取り、彼のオフィスを訪れることにした。日本的な感覚で言えばSan
Franciscoのほぼど真ん中にある白い建物はブリューワリー+蒸留所さらにはオフィスを兼ねており、いかにこの会社が小さいものであるかがよくわかる。ビル自体は「工場」や、「醸造所・蒸留所」といった雰囲気はない。どことなく大恐慌時代を舞台にした映画にでも出てきそうな雰囲気である。実際、このビルは1937年に建設され、78年、氏がここを醸造所とするまではオフィスとして使っていたらしい。オフィスに通されると、窓からはサンフランシスコの美しい街並みが・・・。 |
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| 程なくして、Maytag氏が現れる。San Franciscoは大変リベラルな街なので、ここで成功を収めたMaytag氏も相当若い、「自由闊達」なビール狂のようなイメージを持っていたが、お会いしてびっくり。恰幅のいい体型に初老の男性はその野太い声と相まって大変「南部」な薫りがする。 |
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| しばらくの間、自己紹介をしていると、顔をくぐもらせて同席した技術主幹となにやら話し合い、申し訳なさそうに「どうやら蒸留所を見せることはできないようだね・・・。」とつぶやく。「うぇっ!なんで??」と思っていると、すぐにこう付け加えた。「競争相手を作りたくないんだよ・・・。アメリカではマイクロブリューワリーも含め、この世界は大変な弱肉強食で、なにかちょっとした秘密でも握られると、すぐに先を越されちゃうんだ。お前さんはその道に知り合いがいそうだから、申し訳ないけど、中を見せることはできないよ…。」だ、そうである。実際、後から振り返ると、こちらが当たり前と思っていたような話しが向こう側にとっては相当新鮮だったらしい。やはりスコットランド(つまり、スコッチウィスキー)には興味があるらしく盛んに質問が投げかけられたが、ほとんど知識は無いようなのだ。数年前にスコットランドを訪れたときのEdradourが印象に強く残っていたらしく、「一番小さいという蒸留所・・・なんといったかな・・・あれだってうちらからすれば馬鹿でかいよ。」とおどけて見せた。こちらが、あれがスコットランドで作ることのできる最小のポットスチルで、法律で定められた最小サイズなのだと言うと、その話は初めてだったらしく、技術主幹がPDA(この辺がアメリカらしい)にせっせとメモを取っていた。Maytag氏はその話に関連して日本のビール業界が十数年前に規制緩和によってその最低生産量が引き下げられ、結果として地ビールが生まれたということを知っていたようだが、その「最低生産量」の大きさに呆れたと言う話をしていた。さすがにビールの話には詳しい。ともかく、ビールも、ウィスキーも少量生産ということなのだ。話を進めると、P.
Hills氏にもスコットランドで会ったらしく、彼が持っていた「一番小さい」給湯器サイズのスチルのこともしっかり知っていたのには驚いた。あのスチルとそのライセンスには面白い逸話があるので、その話をすると驚いていたようだがそんな情報が彼が私に蒸留所内を案内できないという決心に向かわせたらしい・・・。まぁ、どうあがいてもしょうがないようなのですんなり引き下がってしまったが・・・。 |
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| 後半は、蒸留に関して得た情報と、Maytag氏の人となりについてお伝えしたい。 |
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Jimmy
in San Francisco |
2005.04.17 |
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| 研究の関係でこの約一ヵ月半ほど、アメリカはSan Francisco、Berkeleyに滞在ている。 |
残念なのはウィスキーが飲めないこと。無論、こちらだってバーボンやらスコッチやら一応ウィスキーと名のつくものは手に入らないわけではないが、
ともかくバーの数が少ない。英国のように、どこにでもパブがあるというわけではないのだ。あるとしても、いわゆる映画に出てくるような「アメリカン」なバーか、アイリッシュパブ。それ以上に影響が大きいのは、この国のアルコールに対する姿勢だ。アメリカでは一般的に21歳以上でないとアルコールに手が出せない規則になっているが、その法律をきちんとサポートするシステムが非常にしっかりしている。大体どこの酒屋やパブに行っても私の年齢(30+)でも
IDの提示を求められることが多い。30歳以下の人間はたとえ21歳以上に見えても、IDを確認するよう要請されているからだ。これが正しく履行されているか、よく一般客に成りすましたアルコール取締官が店を訪れ、目を光らせている。正しく履行されてないと確認された場合はライセンスの取り上げも起きるわけだ。当然こういう感覚からすれば、日本によくあるビール・日本酒の自販機などは「驚愕」ものだし、英国のパブひしめく街角も目がくらくらするほどだ。また、映画などによく出てくるようにビールなどを酒屋で買えば必ず茶色い紙袋に入れられる。これは、この国では公衆で酒を飲むことを禁じられているためである。 |
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これらはこの国が70年以上も前の禁酒法の「スピリット」が今でも脈々と流れ ていることを示している。これはタバコに関しても同じだ。
カリフォルニアはとくにこの手の法律が厳しく、レストランなど食事をするとこ ろでの喫煙はおろか、外であっても、レストラン等の入り口からこれこれの距離を置いてすわなければならないというような条例まであるほどだ。 |
![]() ![]() アメリカでの、いや全世界のスコッチウィスキーの代名詞、Jonny Walkerはこ こSan Franciscoでも健在 |
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大学生達が週末、彼らの住むアパートの床をビールの「池」にして乱痴気騒ぎを する(10年前、私もよくそういう週末パーティーに参加したものだった…)飲み方から、数多くのマイクロブリューワリーがならぶビアフェスティバルまで、
実はアルコールに「お堅い」アメリカはビール好きにはたまらない国でもあるのだ。 |
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