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エジンバラNOW

エジンバラ特派員(会員966) ジミー山内のプロフィール

1974年生まれ。 横浜に生まれ、中・高・大と鎌倉、湘南近辺で学生生活を送る。20歳頃からモルトを飲み始めて今にに至る。最初に飲んだものはボウモアでした。その後、アメリカ・ボストン、イギリス・ロンドンを経て現在エジンバラの近くの漁港ニューへーブンに住む。エジンバラ大学に在籍。 好きな酒は、やはりモルト&エール(無論、生温いやつです…)。趣味はロッククラ イミング、テコンドー、コーヒーそしてジャズ。

ジミー山内
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エジンバラNOWバックナンバー
Edinburgh Now:021-040 Edinburgh Now:041-046




Edinburgh Now: 040 2004.06.06 クライゲラキリターンズ2
Edinburgh Now: 039 2004.05.23 クライゲラキリターンズ1
Edinburgh Now: 038 2004.05.17 リースとウィスキーの関係
Edinburgh Now: 037 2004.04.16 今年をGlenlivetの年に・・・
Edinburgh Now: 036 2004.04.13 これが噂の・・・
Edinburgh Now: 035 2004.03.31 欧州に忍び寄る影・・・
Edinburgh Now: 034 2004.03.22 Glendronach & Glen Moray
Edinburgh Now: 033 2004.03.19 Shetlandから・・・? 2004.03
Edinburgh Now: 032 2004.03.17 新着Springbank
Edinburgh Now: 031 2004.03.16 迷走を続けるCardhu・・・
Edinburgh Now: 030 2004.03.01 Cadenhead's Tasting
Edinburgh Now: 029 2004.02.20 新参ボトル二本
Edinburgh Now: 028 2004.02.19 映画の中の日本
Edinburgh Now: 027 2004.01.20 Haggis
Edinburgh Now: 026 2004.12.30 2003年最後のエジンバラNOW
Edinburgh Now: 025 2003.12.24 いよいよChristmas Eve
Edinburgh Now: 024 2003.12.24 ラフロイグとカカオの関係
Edinburgh Now: 023 2003.12.05 Cardhu禍 ついに英国国会まで行くが、一応の決着
Edinburgh Now: 022 2003.11.15 クリスマスシーズンまもなく到来
Edinburgh Now: 021 2003.11.13 Craigellachieから戻って早10日

『エジンバラNOW』の文章に関する著作権はスコッチ文化研究所が有しており、無断での使用を禁じます。

クライゲラキリターンズ2
Edinburgh Now: 040
2004.06.06
 

 
 
クライゲラキに到着してから3日目、皆川氏は早朝West Highland WayというGlasgowを起点として、Fort Williamsまでの全長150km(!)のウォーキングコースへと旅立っていった。目の前を走るSpeyside Way同様、スコットランドでは非常にポピュラーなコースなんだとか。

仕事は初日こそ、半年前の勘を取り戻すべくどことの無くぎこちない働きっぷりだったと自分でも思うが、2日目にもなれば慣れたもの。しかし、やはり秋とは違い客が多い。前回は多くがウィスキー関連のビジネスゲストなどだったが、今回はプライベートの客が多かった。で、なんといってもウィスキー目当てでやってくるのは北欧系の人々。ドイツを筆頭として、ノルウェー、スウェーデン、デンマークと、ともかく北欧人はこのQuacih Barを目当てにやってくる。これはエジンバラでも同じ。

数々の超大物コレクターで有名なイタリア人はどういう訳かほとんどウィスキーに興味がないのか、ホテルにはほとんどやってこないし、エジンバラでも「ウィスキーは全く解りません」という顔している人がほとんど。スカンジナビアに関して言えば、酒販に関する法律が英国よりも厳しく、そういう理由もあってこちらで思う存分ウィスキーを楽しんでいるのかも。他の西欧からの人々は大体、「何で本場英国の方がウィスキーの値段が高いんだ?」といぶかしがるぐらいだから、その辺の違いもあるのかもしれない。

では、ドイツは…と思っていたら、面白いカップルに出会いました。何でもDietmarとCorinnaの二人はドイツで「Art of Whisky」というインターネットベースのウィスキーショップを営んでいるんだとか。最近自前でボトル詰めしたというボウモアをひっさげてQuaich Barへ。すぐに試飲してくれと、勧められる。石けん臭くない、何とも実直な味のするボウモア。あっという間に気があって、次の3日間、いろいろな情報を交換したり、互いに自分の好みの酒を勧め合ったり。なかでも、自分が勧めたある酒にいたく感動してくれて、その酒が未だ手に入る店を教えたところ、翌日には「全部で5本、店にあったほとんどを買い占めてきた!」と興奮気味に話してくれた。お礼、ということで、Art of Whisky、一番の売れ筋 Vintage Malt Whiskyがドイツ及び日本のみで販売している(ドイツでの流通はJack Wiebersらしい)のClassic of Islay(中身は8〜9年のラガヴリン、カスクストレングス)を少しサンプルボトルに分けて頂きました。なんでも、あまりの人気に次回以降はカリラになるそうで、なかなか貴重なもの。値段は英国では考えられないほど安いけど、ラガヴリンらしい、土臭さの中に、ほんのりとした酸味があって、とても心地よい清涼感のあるアイラウィスキーでした。

彼らのホームページは…www.artofwhisky.de
しかしながら当然だが全てがドイツ語でほとんど何が何だか解らない…
 
 

CorinnaとDietma

彼らのオリジナルボトルになるボウモアを中央に、左からCorinnaとDietmarの二人。ウィスキーに対する熱意はなみなみならないものがある…Corinnaのお気に入りはBanffだとか。「いままで、だめなBanffは無かったわ」と語ってくれた。

 

Classic of Islay

J. WiebersのClassic of Islay。英国では先ず目にすることはない。次回ボトリング以降はCaol Ilaになるとか。

 
 

クライゲラキリターンズ1
Edinburgh Now: 039
2004.05.23
 

 
  土屋氏一行とのアイランド訪問を終え、個人的には猛烈に忙しかった4月(エジンバラNOWのアップが遅れてごめんなさい)。ようやく一息ついたと思ったらCraigellachie Hotelの看板バーマン皆川氏から至急連絡がほしいとのメールが・・・。何かハプニングでもあったのかと思い電話を取れば、なんとまたまたホリデーを取るので十日ほどバーに立って欲しいとの話。偶然その時、Craigellachie近辺でウイスキー関連の仕事があり2−3日滞在する予定であったので、その日を除けばOKかもと即答。ただし、Royal Mile Whiskiesでのシフトに大穴を開けてしまうので、ホテルの支配人D.Elphick氏にRMWに「ジミーを借りる!」旨の一本電話を入れてもらう。これですべてがスムースに。
モナスターボイス
 
 


半年振りにCraigellachieへ。が、いきなり列車がEdinburgh駅構内で立ち往生。「あぁ、またか」と思いつつ、乗り換え駅のAberdeenを目指すが、どう考えても乗り継ぎが間に合わない。そのうち車掌がやってきて、Aberdeenからタクシーを手配したので、それでElginまで・・・。結局他の客人とタクシーに同乗、一路Elginを目指す。途中、Keithを通り過ぎるが、町の奇麗さに感動。英国の駅というのはとかく町外れにあるので、街自体を眺めることが少ない。タクシーに感謝。

ようやくElginで皆川氏と再会。ホテルに着いて従業員部屋に入ると、昨年いた連中の約半分はもうすでにいない。なんでもGlen Grantのスティルマン、Davidも忙しくてホテルを去ったとのこと。残念だ。取り合えず旧知の連中に挨拶する。一瞬名前が思い出せないが、さすがにこちらの名前は覚えて--「Hi, Jimmy!」。そりゃそうですよね。なんてったってScotlandでJimmyといえば、日本の「○×太郎」と同じですから。

そんな彼らの一人が面白い記事を渡してくれた。読めばなんでもMacallanのオールドボトルコレクションがどうやら贋作との記事。コレクションのうちどれほどがニセモノかは書いていないが、流石は皮肉たっぷりの英国の新聞。これでMacallanが世界最大の「贋作ウイスキー」展示場になるかもなんて書いてある。ホテルの対岸、木立の合間からMacallanのシンボルである例の建物が見える。それほど近い場所の静かな騒動に、なんとも不思議な気分。

 
 

リースとウィスキーの関係
Edinburgh Now: 038
2004.05.17
 

 
 

今週末エジンバラはいよいよ夏を迎えた。が、気温は20℃程度。それでも週日は15℃前後だったことを考えればたいしたものだ。おかげでそこかしこのガーデンにはこの時とばかりに日焼けをしたり、BBQを楽しんだりと、思い思いの夏の到来を楽しんでいた。

エジンバラ城とプリンセスストリートに挟まれたガーデンも人がひしめいていたが、こういう時期になると、エジンバラの外港であるLeith(リース)にも人が集まり始める。特にパブやしゃれた店がならぶShore周辺は、パイントグラスを片手に運河に足を投げ出して午後を楽しむ老若男女で賑わう。

 
     
 

そんなリースだが、実はここ、ウィスキーと深い関係がある街なのである。もともとSMWSの入るThe Vaultsを見てもわかるように、スコットランドのワイン輸入の玄関口であったこの街には多くの一時貯蔵庫が存在していた。が、1870年代後半のフィロキセラ大繁殖によって大打撃を受けて以降、余りに余ったそれらの貯蔵庫が徐々にウィスキー保税倉庫へと変貌を告げていったのである。1960年代には何とスコットランドのウィスキーの内85%近くがここリースに眠っていたという。無論、その後トラックの発達により港湾近くでのウィスキーの熟成は必要性が下がり、今では高級レストランや、アパートと化してしまった。それでも今も残る引き込み線のレールや、荷出しのクレーン跡が残ったアパートを眺めると、今は無き風景が想像されるわけである。

もし、今宵あなたが幸運にも1960年代のモルトをグラスに注ぐことが出来たなら、あなたは今モルトの芳香の奥にリースの少し肌寒い、潮をほんのりと含んだ空気を感じることが出来るかもしれない。
Leith

Leith

リースにある壁画
どことなく旧社会主義国を思わせるような壁画。いかにもここが労働者の街であったことを示している。
その前に立つオブジェ。昔はこうやって水夫が樽を転がしていたのだろうか?聞けばこの樽はオールドプルトニーの物だったとか…

 
Leith
 

今年をGlenlivetの年に・・・
Edinburgh Now: 037
2004.04.16
 

 
 

ペルノリカール傘下のChivas Regal社は自社のフラッグシップであるGlenlivetについて今年、大々的なマーケティングを行う予定であることを発表した。このマーケティングにはパッケージングの刷新や、新たな広告戦略が含まれると言うことで、下半期にはこれらの動きが消費者の目に入ることになるだろうとしている。

シングルモルト業界は今なおGlenfiddichの独走状態が続いているが、Chivas Regalの今回のマーケティングはこれに「追いつき追い越せ」というものらしい。実際の所、去年一年でGlenfiddichは77万5千ケースを全世界で売ったのに対し、Glenlivetは40万ケースを若干下回る規模だったという。それでも前年比7%増で、販売数世界第三位の規模だそうだ。ちなみに第二位は同じくChivas Regal社のGlen Grantだが、大半は価格の安い5年物だそうで、Chivas社としてはこれを高イメージにしていくという戦略をとらず、既に高価格帯で勝負しているGlenlivetを更に売り込む方針だそうだ。

日本で特に人気の高いGlenlivetだが、新たなパッケージングは果たしてどのようなものになるのであろうか?

 
 

これが噂の・・・
Edinburgh Now: 036
2004.04.13
 

 
 

エジンバラも夏時間を先月末に迎え、イースターホリデーで観光客で賑わうシーズンが又やってきた。陽が沈むのは午後8時過ぎ。晴れていれば9時過ぎまで空に明かりが残るほどだ。エニシダの花もArthur's Seatを包むようになり、本格的に春の訪れを感じさせる。

 
     
  そんな春の観光シーズンに合わせるかのように新しいGlendronachが店にやってきた。以前お伝えした、12年物のGlendronachである。
15年のと違い、より赤みがかった丸いチューブに入ったボトルには、このウィスキーがバーボン樽と、シェリー樽のダブルマチュレーションであることが記載されている。が、しかし・・・このウィスキー、シェリーフィニッシュではなく、実はシェリー樽ねかせの、バーボン樽フィニッシュなのである。100%シェリー樽熟成を謳うGlendronachも、時代の波には勝てないのだろうか?

しかし疑問は残る。熟成のほとんどをシェリー樽で行っているのであれば、何故それを今更バーボン樽でフィニッシュさせるのだろう?邪推すれば、いろいろな理由を考えることが出来るが、その前に飲んでみなければ始まらない。残念ながら手元に試飲できるサンプルがなく、その辺は又次回に、ということにしたい。
Glendronach
 
 
 
  その他にもシグナトリーから、Straight from the Caskシリーズがいくつか届いた。
エドラダワーのバーガンディー及びポートフィニッシュ。ラフロイグのポートフィニッシュ。そしてポートエレンのバーガンディーフィニッシュである。○×フィニッシュ盛りだが、ポートエレンまでもが、しかもバーガンディーフィニッシュとは、やはり時代の流れなのだろうか?しかし、この外箱の色。どれもこれもものすごい色である・・・
 
     
 
Edradour Laphroaig Port Ellen
 
 

欧州に忍び寄る影・・・
Edinburgh Now: 035
2004.03.31
 

 
 

アイリッシュパブ

この響きにこの記事を見る方々はどのような感慨を持たれるだろうか。
アイリッシュパイプの独特な音色。ギネスに代表されるようなスタウト。人なつっこい国民性。それとも緑色?日本でも人気の高いアイリッシュパブだが、本国では夏時間も始まって間もない3月29日、歴史的な「異変」が起きた。

「タバコが吸えない…」

そうである、アメリカ・ニューヨーク市に続き、遂にヨーロッパでも酒場でタバコをくゆらすことが出来ない日がやってきたのである。レストラン、ホテル、バー、パブで働く従業員の健康維持を名目にこの度アイルランドではこれらの場所での喫煙が禁止された。

大陸に比べると、非禁煙車率が高い英国及びアイルランドだが、それでも若者の、特に酒場での喫煙率は高い。そのような中で店内での喫煙が禁止されたのである。紫煙に煙るパブでの談笑はいかにも、といった感じだが、実際の所、ここ数年カフェブームなども手伝って、レストラン・カフェを初めとして自主的な禁煙が進んでいた。その波に乗って、遂に隣国アイルランドでバー・パブ等の完全禁煙と言うことで、英国も並々ならぬ関心を持っている模様。個人的には煙をたしなむクチではないので、嬉しい限りだが、仕事の後の一杯&一服を楽しむ人々には、この新しい法律が受け入れられるまでしばらくかかると言ったところか。

 
 

Glendronach & Glen Moray
Edinburgh Now: 034
2004.03.22
 

 
 

GlendronachはイギリスではOfficial15年が手に入らなくなってから久しい。シェリー樽100%を謳う珍しいオフィシャルボトルからか、結構人気が高く、遠路はるばるやってきたお客さんをがっかりさせてしまうこともしばしば。いつになったら入荷するのやら・・・と思っていたら、こんな情報を。近々12年が発売されるらしい。15年とは違い、ex-Bourbonとex-Sherryのvattedになるとか。15年が継続されるかは不明。

Glen Morayの方は、どうやら12年が終売になる模様。人気の高い16年はあのカンに入ったパッケージングを変更すると言って、もう半年も入荷がない。この春あたりには是非・・・

 
 

Shetlandから・・・?
Edinburgh Now: 033
2004.03.19
 

 
 

Shetland初の蒸留所として期待されているBlackwood蒸留所が、この度3種類のスピリッツの発売開始をした。その3種類とは、Vodka, Gin, Vodkaベースのクリームリキュール。残念ながらVodkaも、GinもBlackwood蒸留所で蒸留されたわけではないようだ(さすがにMalt100%のシングルモルトならぬ、シングルウォッカは価格競争の激しいスピリッツ業界ではやっていけないかも)。

たまたま発売開始前に試飲をしてみたが、Vodkaのできが特に良い。Black Currant一杯といった感じで、清涼感が高く、比較的甘みも強い。Vodkaは全く分からないが、常温であってもかなり「いける」感じだ。Ginもなかなかだが、当然の事ながらイギリスには強面の競争相手が顔を並べる中で苦戦を強いられるかも。クリームリキュールは、まるで練乳アイスをなめているかのような濃厚な味わい。

ボトル写真
 
 
日本の某ウィスキーメーカーはウィスキーが熟成するまでジュースを売っていたそうだが、この国ではVodkaやGinを売るのが一番手っ取り早いと言うところか。
 
 

新着Springbank
Edinburgh Now: 032
2004.03.17
 

 
 

3月5−6日はロンドンでWhisky Magazine Liveが催された。
今年は行ってみようかと考えたが、やはり店でお留守番。ところがとんでもないハプニングが・・・Springbankの今年のWood expressionシリーズであるSpringbank Bourbon Finishと、新規品Springbank 100Proofのお披露目がMagazine Liveで行われる予定だったが、何とキャンベルタウンから運ばれていたボトルが、トレーラーごとドロン。つまり窃盗(ないしは強奪。詳しい状況がよく分かっていない)されてしまったわけである。
当然期待していたお披露目はキャンセル。先行予約も行っていたとのことで、何とも頂けない話である。英国ではトレーラーの強奪は珍しくない話だが、犯人も恐らく積み荷がそれなりに高級なアルコールであるとは思いもかけていなかったと思うが・・・しかし一体中身は何処に?

ちなみにBourbon Finishは5986本限定、度数58.5%。RMWにも全流通分の約1%近くがまわってきたが、既に予約のみで完売。目の前に積まれているボトルの一本も試すことが出来ないのは残念。100Proofの方は余裕があるようで、機会があれば又レポートをしたい。

 
 
   Springbank Bourbon Finish Springbank Bourbon Finish Springbank 100Proof Springbank 100Proof
 
 


更にもう一つ。最近、Springbankのボトルにある申込用紙が付いている。実はこれ、今年から蒸留が始まる予定のGlengyle蒸留所のモルトを先行予約する申込用紙なのだ。Oloroso, Fino, Demerara (rum), Henriques & Henriques (Madeira), Cockburns(port), Jim Beam (bourbon)の全部で6種類の樽熟を一本ずつ予約できる仕組み。熟成年は10年を予定。2014年に頒布とのこと。気になる値段は・・・高い。手に出来るのは10年後。このときウイスキー業界は一体どうなってるであろうか?

 
 

迷走を続けるCardhu・・・
Edinburgh Now: 031
2004.03.16
 

 
 

昨年末、英国国会にまで論争が持ち込まれたCardhu Pure Malt、一応パッケージングを変えるというDiageoの決断で決着したかのように見えたが、ここへ来て事態が大きく展開した。なんと、Pure Maltの販売を止め、もう一度Single Maltとして販売を開始するとのこと。

Scotch Wishiky Associationは既に昨年12月、この問題が一応の決着を見た段階(パッケージングの変更)で、将来的には蒸留所名がブランド名となった銘柄はシングルモルトであるべきであると言うガイドラインを発表している。Diageoの今回の決断はこれに沿ったものだが、実際の所英国小売店にはPure MaltとしてのCardhuは未だに(恐らくこれからも)売られていない。Cardhu Pure Maltの代わりとして、Diageoは新たなVatted Maltを画策中とのことだ。

 
 

Cadenhead's Tasting
Edinburgh Now: 030
2004.03.01
 

 
 

ここのところ忙しさにかまけて、ほとんど人付き合いがなかったのだが、久々にCadenhead'sのWee Markに会いに行く。聞けば、翌々日に店近くのパブでCadenhead'sのテイスティングを開催するという。本来なら£10だが、タダにしてやるから来ないか?と誘われて、即断した。

2月の最終水曜日。パブの地下にあるCellar Barを借り切ってのテイスティング。到着したときにはMark以外誰もいなかったが、既にテーブルは綺麗に並べられ、その上にはウィスキーが注がれ、蓋がされたテイスティンググラスが所狭しと置かれている。

 
     
 
Wee Mark tasting
 
     
  そのうちぞろぞろと参加者がやってきて・・・残念ながら誰もなじみがない。どうやら同業者はいないようだ。そのうちにMarkのウィスキーに関する説明が始まる。業界の裏話を交えた興味深い話が軽妙なトークに織り交ぜられる。テイスティングそのものは一つずつじっくりとブラインドで行われ、その後その蒸留所名があかされるという形で5種類が提供された。全てCadenhead'sオリジナル。

まず最初はGlenlossie 10年。若いスペイサイドモルトらしくさわやかでバニラたっぷりのモルト。素晴らしい出来。

2番目はMillburn 13年。ん?と思った方は鋭い。蒸留所は1985年閉鎖なので、13年物と言えば、最後の年の物でも99年には瓶詰めされているはずである。実はこれ83年蒸留の97年瓶詰めの物。確かにボトルはグリーンで、ラベルも以前の物。遂に英国でもオールドボトルブーム到来か…良くボトルを見ると750ml。もしや…そう、US市場向けの物である。元々米国はウィスキーに関しての酒税等が複雑で、そのあおりを食ってCaliforniaの倉庫で7年も眠っていたこのMillburnを送り返させたんだそうな。このUS市場向けの問題は前々から聞いていたので、これからも同じようなケースがあるかも。肝心の中身だが、Invernessモルト!といった感じで、パンチが効いていて、なおかつ適度なピーティーさ。「オールドボトルらしさ」も多少あるかな・・・。

3番目はGlendronach。オフィシャルの15年はこちらでは手に入らなくなって久しいが、この15年は46%に加水されている。シェリー物で、丸い感じが心地よい。但し、しばらくするとやはり硫黄臭が上がってくるのが残念。Markの一押しはこれ。確かにフルーティーなノートが良い出来だ。

4番目は驚きのBalvenie。周りは29年物ということでエキサイトしていたが、こちらとしてはやっぱりCadenhead'sのBalvenieということで大興奮。最初は年代物のスペイサイドかな?ぐらいだったが、やはり名前を聞けば驚きが隠せない。肝心の中身は・・・「凄い!!」と声を上げるほどではないが、長熟のスペイサイドの風格充分である。値段を聞いてまたまた吃驚(ここでは一応伏せておくことにします)。なんでもCadenhead'sの料金体系にはレアとか、そういった物は含まれないんだとか。熟成年によるフラットレートということ。つまり、「安い」ということです。

最後はLedaig。ピートレベルは一番なものの、どうもスピリッティであんまり良くないかな。少しアンモニア臭もあったような気が。

ということで、約2時間半をかけてじっくりとテイスティング。その後、二人で上のバーに行って久々にトーク。最後は両者ともべろべろになって宴も終了した。

尚、Cadenhead'sのテイスティングはMark主催によるもので、基本的には毎月最終水曜日午後7時半より行われることになっている。次回は3月31日。料金は前売りが£10、当日券が£12.5となっていて、Canongate店で購入できる。

 
     
 
今回のウィスキー一覧

1. Glenlossie 10年 60.6%
2. Millburn 13年 58.8%
3. Glendronach 15年 46%
4. Balvenie 29年 48%
5. Ledaig 10年 59.9%

 
 

新参ボトル二本
Edinburgh Now: 029
2004.02.20
 

 
 
小売業界にとっての暗黒のシーズン、一月を超え、ようやくロイヤルマイルにも観光客が戻り始めた。日もだいぶ長くなってきたし、気温も日中5度前後を保つように為ってきた。英国はこれから桜のシーズン。これから随所で桜が花を咲かせるはずだ。もう既にクロッカスは地中から顔を出し、春を一足先に運んできている。
年末から、最近になって新しく店頭に並んだボトルを二本紹介したい。

 
  まずは、Highland Park。
この国では比較的値段の高いレンジで特に評判の高いHighland Parkだが、年末に数量限定、店舗限定のものがお目見えした。1977年蒸留、2003瓶詰めの25年で、Single Cask(Cask #4258)で、Cask Strength。これは、スコットランドに関する雑誌「Scottish Field」が12月号で主催した、2004 Whisky Merchant's Challengeの記念ボトルとして販売されたもの。この雑誌、2003年にウィスキー小売業界を集めてブラインドテイスティングを毎号で行っていたが、その中でHighland Parkが金賞を2回受賞したことを記念してボトル詰めされたものである。Loch Fyne、Royal Mile Whiskies, Gordon & MacPhail, The Whisky Shop, Craigellachie Hotel, Gleneagles Resort, Drumchork Lodgeの7店が参加している。2004 Whisky Merchant's Challenge自体は、その内で、実際に小売りとして活動する4店、つまりLoch Fyne, Royal Mile Whiskies, Gordon & MacPhai, The Whisky Shopが価格帯を設定して、それぞれにその帯域でベストと思われるものを推薦する形になっている。
 
     
 
肝心の1977 Highland Parkだが、通常の25年に比べ、相当にフルーティーな印象だ。オレンジを主体とするが、ともするとスペイサイドかな?とも思える様なバナナ臭もある。テリがあり、美しいノーズ。ピートレベルは他のVintage Highland Parkに比べそれ程高くなく、またシェリーべたべたでもなく、良い感じにまとまっている。ストレートでも楽しめるが、加水後の変化も又良し、である。キャラメルと、ピートが加水によって立ってくるのが分かる。
残念ながら、上記の店舗のみでの購入が可能。200を下る本数が瓶詰めされたようだが、店舗に並んで約一ヶ月が経ち、既に8割が消えてしまった模様。
 

Highland Park Highland Park
最初遠目に見て、ラグビーボールが描かれているのかと思った・・・何せイングランドがラグビーワールドカップで歴史的な初優勝を飾った後だったので・・・

 
     
 
二番目は新パッケージでお目見えのTullibardine。
赤身を帯びた、美しいボトルから一挙に重厚なNavy Blueを基調としたパッケージングに。ボトルデザインで売るのはあんまり好きではないけど、重厚さの中にセンスの良さが光るこのボトルはなかなかかも。1993の文字が打たれ、熟成年ではなく、vintage表記に変わっている点も興味深い。Tullibardineといえば、「grassy」と言うイメージが強いが、新しいボトルでは印象が結構変わっている。
Tullibardine Tullibardine
 
  先ず感じるのはバニラ。奥に甘い香りが控えていて、時間と共に大きく立ち始める。grassyさは残るものの、以前のようなある種の清涼感は後ろに引いた感じがする。
残念なのはテイスト。口に含んでも、これと言って何も感じるものがない。RMWの社員テイスティングの後と言うこともあるのかもしれないが(カスクストレングスばかり6本一気だった…)、ともかく口寂しい。ボトルデザインがかなり期待を誘うだけに、少しがっくりかも。
 
 

映画の中の日本
Edinburgh Now: 028
2004.02.19
 

 
 
フランス、特にパリほどではないが、イギリスもなかなか日本に対する理解が深まっていると思うことがある。ここ7〜8年でイギリス人の日本食に対する興味は非常に高まったし、車やITだけでなく、漫画、映画、建築など文化的な側面も脚光を浴びることが多くなってきた。とはいえ、まだまだへんちくりんな理解も多いのも事実。

そんな中、昨月から日本を題材にしたハリウッド映画がイギリスの銀幕を賑わしている。
一つは、言うまでもなくT・クルーズの「The Last Samurai」。昨年末に予告編を劇場で見たときは何事かと思ったが、案の定「Lord of the Ring」による中世ブームと相まって、なかなか人気のようだ。「Samurai」と聞いてぐっと来ちゃう人間は欧米に結構多くて、熱っぽく武士道を語る人を幾度も見ているが、そういう人にとっても大満足の映画なんではないだろうか?とはいえ、多くの場合サムライ、カラテ、ニンジュツ(!)あたりが一緒くたになっているのはご愛敬。

二番目は「Lost in Translation」。
映画関係者によると日本公開はどうもゴールデンウィーク辺りらしく、日本では未だそれ程知られていないようだが、今年のアカデミー賞の有力候補という事で、すでに耳に挟まれた方も多いかもしれない。この映画は日本を題材としているハリウッド映画という点で日本映画ではないが、日本が持つ強いエキゾチックさというものを欧米人の目でとらえるという意味で、より一般人にわかりやすくなっている。つまり、観客が、日本人が捉えた日本をファインダー越しに見るのではなく、映画の中に生きる主人公達の目を通して、「言葉も分からない異文化の中で困惑する」(Lost in X)という気分を味わえるわけだ。

この映画、日本人にとってはやっぱり「sour」かもしれない。日本語をきちんとしゃべらない俳優や、中華と区別が付かないような衣装・セットを持ち出されておちゃらけの日本が銀幕に映れば、「何にも分かってないよ」と首を振ることも出来るだろうが、「Lost in Translation」で映る東京は紛れもなく今の東京だ。言葉が分からない、文化も知らない「異邦人」の目を通した日本。自分ですら久々に東京に帰ってきたときのあの、得も言われない「くらくら感」をこの映画で強く感じるほどだ。日本人として、東京にいては分からない、この異質感。ニタニタしながら下を向いてしまいたいと思うほど、銀幕に映る「あたりまえ」の東京は異質だ。「欧米」にとっての日本は、「The Last Samurai」の日本と、超ハイテクの日本がちぐはぐに組み合わさったある種得体の知れないものなんだろうなと思う。新宿の超高級ホテルの最上階のバー。そこで静かにジャズを演奏する欧米ミュージシャン。日本人に「渋い」と映るその情景は、この映画を通せば異質だ。でもその異質感、疎外感がこの映画のもう一つの題材である、ほのかな恋というものを際だたせている。

とここまで文化論を打ってきたが、実はこの映画、ウィスキーとつよ〜い関係がある映画なのである。とある国内大手メーカーのウィスキーの宣伝を映画の重要な背景に据えているのだ。主人公である「映画俳優」が日本にやってくる理由がこのウィスキーの宣伝なのである。それ以降も、随所にウィスキーが現れるが、その中性さが良い。この映画の中ではウィスキーそのものが強く前面に出ているわけではないし、どこかコミカルに描かれているので、「宣伝のための映画」という気は全くしないためだ。

監督のS・コッポラはF・コッポラの娘で、相当クリエイティブな人らしい。映画のみ為らず芸術関係に多彩な能力を発揮しているとのことだ。彼女、相当な日本通らしく、映画の随所に東京の文化を知り尽くしていないと出てこないような場面が表れる。特に注目してほしいのは、音だ。音楽の選曲もさることながら、背景に流れる音。救
急車の音や、バイクの音。はたまたカラスの鳴き声まで、日本人にとっては当たり前だが、異邦人にとってはエキゾチックな音が満載だ。こうやって海外でこの映画を見るとその音にはっとさせられる。日本で周りが全部日本人でこの映画を見ることを想像するとちょっと不思議な気分になるし、日本人にとってはこの映画はS・コッポラが表現したかった「lost in X」というのはなかなか伝わらないかもしれない。でも、逆に、日本人はこの映画を通して、「自分を見る目」をリフレッシュできるんじゃないだろうか?
 
 

Haggis
Edinburgh Now: 027
2004.01.20
 

 
 
特に欧州の客に多いのだが、店にいると良くこういう質問をされる。
「ハギスってなんなんだい?」
行く先々で、「ハギスとは、四つ足の…」なんて吹き込まれ、おみやげ屋の店頭には、ブタともマッシュルームのお化けともつかないようなピンク色の生き物がユーモラスに描かれた絵葉書が「これぞハギス!」と謳えば、かわいそうな観光客はやっぱり気になるもの。中には中身を知っていてニヤニヤしてるのもいるが、その一方で、いい年した男性が、普段は絶対見せないだろうと言うほど純朴な顔して訊いてくる場合もある。

 
 
で、どう答えるか…正面きって、「羊の贓物と、雑穀の合わせたものが腸皮の中に入ったものです」と、マユ一つ上げずに答える方法もあるが、いくら何でもこれは無粋なので、「あなたの国にあるような、ソーセージのスコットランド版ですよ。」と答えることにしている。まぁ、遠からず。この国の「ソーセージ」たるものを食べた方はご存じかもしれないが、魚肉ソーセージ以上に食文化の「厚み」をひしひしと感じる食べ物であることは間違いない。

 
 
小麦粉が含まれていることが多く、えもいわれない食感である。ある意味において、その極限がハギスであり、北部イングランドのブラックブディングである。まぁ、ブラックブディングはおいておくにしても、マッシュポテトと、ターニップ、それにハギスと、まるで「三色そぼろ」みたいな形で出てくるのがハギス料理。

興味津々でビールの並べられている冷蔵庫からハギスのかたまりを取り出し、夕食にでも食してみようという、観光客に忠告が…まず、そのままでは食べても美味しくないということ。当たり前である。温めて食べてください。第二に、電子レンジにそのままつっこまないでください。想像しているようなソーセージのような「破裂」ではなく、文字通り豪快に「贓物が飛び散る」ことがあります。
必ず、ナイフ等で穴を開けて。第三に、皮は食べないでください。肉厚一ミリ以上は優にある、分厚い羊の腸皮は到底噛み切れません。

Haggis
画像は「スコットランド旅の物語」より

 
 

と、大体ここまでくると、怪訝な顔して、「じゃぁ、どこだったら美味しいやつをたべられる?」と来るわけだ。この「美味しいやつ」が実はくせ者で、単純にハギスを食べてみたければ、その辺のチップショップ(フィッシュ&チップス)へ赴いて、「フライドハギスを一個」といえば、「パン粉揚げ」のばかでかいのがやってくる。中には熱々の…でもこれは夜中3時、寒風吹きすさぶエジンバラ市内でいつ来るとも知らないタクシーを待つクラブ帰りの若者が食するもので、「美味しい」というものではない。むしろ伝統の食文化の現代アレンジの一つの極みを見るためのもの。
じゃぁ、一体どこなんだ?!まぁ、やはりパブでしょうね…「スコットランド料理を出すレストラン」なんてほとんど無いですから…。

本当のことを言えば、ハギスの味にそんなに大きな差があるわけではない。どんなものを食べても、まぁまぁそれなりに味は伝わってくる。皆が想像するように臭いわけでもなく、食感の薄いねちゃねちゃした、比較的食べやすい肉料理だ。中にはかぴかぴしちゃっているやつとか、やたらに胡椒がききすぎているものもあるが、あってそれぐらいの程度。ある日本人シェフが以前、ハギスを口にして一言「なんか、昔のイシ○のハンバーグみたいな味がするなぁ」。そういうもんなんです。本場イタリアの「石釜焼きピザ」とか、スペインの「タパス」とかそういった、素朴だけど、変なところで食べると、「あぁ、あそこに行っちゃったのね…」的な悲しい状況にはあまりならないはず。最近の人々はケチャップぐりぐりかけちゃうぐらいですから。

とはいえ、それでも美味しいやつを…というのであれば、市内に一つ名門店があるのでここで紹介を。

ハギスは「ソーセージ」ですから、肉屋に行くのが普通。市内に、ソーセージで有名なお店がある。
その名はCrombie's ofEdinburgh(97-101, Broughton St., Edinburgh, EH1 3RZ)
バーンズサパーのこの時期、様々なバーンズサパーがらみのパーティーがホテル等々で催されるが、出てくるハギスの多くはここか、隣町のポートベロにある肉屋のもの。市中心部のScottish National Portrait Galleryくにある、Broughton Streetというところにある。

 
 
問題は、これをどこで食べるかだが、B&Bの場合、無理を言えば暖めてもらえるはず。ホテルの場合は衛生法などがあって難しいかもしれないが、そういうところは逆に「ハギスの美味しい店」を教えてくれるはず。
 
 

2003年最後のエジンバラNOW
Edinburgh Now: 026
2003.12.30
 

 
 
クリスマスが終わり、Boxing Dayが過ぎると、お待ちかねの一大セールが始まる。クリスマス休暇を家で家族と過ごし、外に出たくてうずうずしている人々がいっせいに街に繰り出す様はなかなか圧巻。クリスマスショッピングより更に大きな荷物を抱えて歩く人が多いのをみると、誰しも「なんだ、プレゼントケチって、セールに遣いつもりなんだ…」と思えるかも。

27,28日とプリンセスストリートは地元民でごった返すが、29日あたりになるとやたらにイングランド人やら大陸からの人やらが増える。実はこれ、12月31日の大年越しパーティー「Hogmany」に参加する人々なのである。欧州でもスペインなどのように、ブドウを年越しに12粒食べるといったような、日本的な習慣がある国がある中、ScotlandのHogmanayはいわば、ただの「一大乱痴気パーティー」である。
その中でも最大級のものがここエジンバラ。Princes St.やRoyal Mileなどの中心部はチケットを持つのみが入ることができ、若者が酒便を片手に大騒ぎし、特設ステージではコンサートやカウントダウンが華やかに行われる。その数は2000年で実に20万人(最近は範囲が少し狭まったため、数も抑えられて10万人ほど)

むろん、チケットを持たない人もたくさんいるわけで、そういう人々は、Arthur's Seatや、Carlton Hill等、エジンバラの七つの丘で新年と同時に上がる大花火オーケストラを鑑賞すべく外に繰り出すわけだ。Arthur's Seatなど、高いところで見るこの光景は圧巻(一番遠いところで、中心部から5キロほど離れている丘でも打ち上げられる)。ついでにLeith港からは汽笛の大合唱。さすがに「花火慣れ」している日本人にもこれはぐっと来るものがある。ただし問題は見晴らしの良い場所から花火を見ようとすると、必ず7つの内一つは見られなくなること。なぜなら自分がいる丘自体から花火が上がるからである。

 

Edinburgh Hogmanayは31日だけではなく、29日から始まる。
29日はTorchlight Processionというイベントが行われた。これは文化的につながりのあるVikingの衣装を身にまとい、松明を持って木製の舟をRoyal MileからCarlton Hillへ引き、そこで舟に火をつけるという。いわばベルテイン祭の冬番。ちょうどRoyal Mile Whiskiesの前から行進が始まったので、仕事の後、参加をしてみたが、この日はこの冬一番の寒さでー6℃近くまで気温がさがり、燃やされる舟の火のありがったかったこと。おおよそ1万人が集まった。

続いて30日はNight Afore Fiesta(afore=before
つまり、Night BeforeFestival)。Street Ceildih(これが読める人は凄い!ケーリー、いわゆるフォークダンスのようなもの)やら、仮装行列やらパイプバンドが街を埋める。

そして、31日が本番のHogmanay
ともかく皆飲む、飲む!そこかしこで歌の大合唱。ただし、割れた瓶が通りに散乱し、危険でもある。当然散乱するのは瓶だけではなくて、人間の排泄物も。一夜明けて、日本ならご来光…という頃、エジンバラ中心部は見るも無惨な廃墟に。ある程度の歳を迎えたエジンバラっ子たちが「これは、街の恥だよ…」と悪態を付くのもよくわかる。そういう、落ち着いた歳になったら地元のパブで気の置けない連中とゆっくりと年越しを迎えるのも良い。エジンバラ市内の酒場は皆この日に限ってライセンスが2時間特別に延びるので大体1時から2時ぐらいまではゆっくりと飲める。

Torchlight Procession
Torchlight Procession

Torchlight Procession

Torchlight Procession


 
最後に。Ardbeg Committee Reserve 6 years oldを飲んでみた。
アードベグ蒸留所がモレンジ社に買収されて以降に蒸留されたもので、おそらく最初のシングルモルト、アードベグのComittee Reserve6年ものを同僚が入手したので、飲んでみることに。

カスクストレングス、ノンチルのこのモルト、前評判としてはユーギデールの足下を脅かすような出来だとのこと。期待して飲んでみたが、確かに素晴らしい。多少薬品っぽい感じがあり、また多くのアードベグに感じられる、チーズっぽさや、BBQチキンのような臭いはほとんど無い。ただし、6年という若さからか、さすがに薄っぺらさがあるが、これも若いアイラモルトと考えればかなり楽しめる。確かに「For Discussion」とボトルに打ってあるのも頷ける。これで体を十分にホットにしてTorchlight Processionに臨みました。

Ardbeg Committee Reserve 6 years old
Ardbeg Committee Reserve
6 years old

 
 
というわけで、今年のエジンバラNOWはこれで最後になりました。5月からお送りしてきましたが、如何だったでしょうか?これからもエジンバラの旬の情報をお届けできたらと思います。それでは来年もよろしく!
 
 

いよいよChristmas Eve
Edinburgh Now: 025
2003.12.24
 

 

二時半には空が夕焼けはじめ、三時半には日が沈む。おまけに曇天の日が多いのでますます暗くなるのは早い…。そんな12月の下旬。

「目が回りそうだ!」皆がぼやくクリスマスショッピングもようやく終わり、肩の荷も下り、リラックスして街のクリスマスイルミネーションを楽しむ人が増えてくるのがこのイヴの頃だが、中には買い忘れにあわてて気が付いて、イヴ当日に買い物に奔走する人も。この日はほとんどの店は通常よりも早く店終いをするので、大変。続くクリスマス当日の25及び26日はバスも鉄道も走らない、店は当然全部閉店という大変な休日。25日はプレゼントを交換し、家族全員で昼からターキーの丸焼きやら、ミンスパイ(いわゆるフルーツケーキのようなものだが、堅くて、どういうわけだか異常に保存が利く)を食べ、三時からの女王陛下のスピーチを聞くというのが伝統的なもの。まちがってもカップルがムード満々で過ごすような時期ではなく、家族のいない我々のような異邦人にとっては一年で一番退屈な日でもある。もしこんな日に食料品を買い忘れれば冗談抜きで餓死しかねないし、水漏れなどして無理にPlumberなど呼べば、通常の3倍は料金を取られると言うほど、特別な日なのだ。とはいえ、日本の正月がここ二十年ほどで大きく様変わりしたように(そう、クリスマスは日本の正月とほぼ同じなのである)、最近は26日から店を開けることも多くなった。

英国は欧州の中では比較的クリスマスイルミネーションが盛んな国で、各家庭も、街並みもかなり綺麗に電飾が施されている。でもこれが年始まで続くと言うことは日本人にはなじみがないかもしれない。また、クリスマス自体も欧州の国々で様々な特色があって、エジンバラの中心部にはドイツの伝統的なクリスマス料理や飾り付けを売るGerman市場などが、異国のイメージを誘うのか人気を集めている。

Happy Christmas

Happy Christmas


Happy Christmas

Happy Christmas
 

そんななか、私用でスペインはカタルーニャの首都、バルセロナに数日ほど行ってきた。イギリスに比べ、信仰厚いスペインだが、街の装飾はよっぽど質素で、大きなデパートの壁面に鮮やかな電飾が見られるくらい。日中の気温が平均で15度前後と、スコットランドの晩夏のような気候がそうさせるのか…ただ、教会前の広場などではクリスマスのデコレーションを売る広場があったり、キリスト生誕等をモチーフにしたジオラマ(?)が飾られていたりと、いかにも大陸らしいクリスマスで、雰囲気は十分。これがベルギーならば、色とりどりクリスマス限定ベルギービールが売られているのだが、残念ながらスペインではそういったものはない様子。ただし、スペインには1月6日に主顕節という大きな祭りがあるので、このシーズンのお祭りムードは少し分散されているようだ。

と、ここまでクリスマスの話をしてきたが、やはりスペインで気になるのはCardhu。以前訪れたのが5年も前なので、あまり気にしなかったのだが、今回は入るバル(bar)で目を光らせてきました。確かに、どこにでもある。旧市街のちょっとおしゃれなバルにも、町外れの庶民的なバルにも。だいたいバランタインと並んで必ず棚の上にちょこんと乗っかっている。特別な飲み物、というのではなくて、「ウィスキー」と頼めば、無言でこれが出てくる、といった感じ。びっくりしたのはデパートなどの酒売り場。見れば既に「Pure Malt」となっている(少なくともエジンバラに関して言えばPure MaltのCardhuは未だ売られていない)。パッケージはまだSingle Maltのものと同じで、本当に違いがわからない。商品を並べている店員もわかっていない様子で、場所によってはSingle MaltとPure Maltが混在しているところすらある!

これでは絶対に消費者にはわからないだろう…スペインは欧州でも特に英語が苦手な国で、ある程度の年齢以上の人は本当に英語がわからない。英語を母国語とする人間ですら、single maltとpure maltの違いなんて解るわけ無いのに…しかも、当然ボトルに書かれている文字の方が箱のそれよりも小さく、バルなどで店員がグラスについでカウンタに出せば、飲み手は目に入ることすら全く無いだろう。すごいことです。

最後に。バルセロナといえば、なんと言ってもガウディだが、全く同時代のスコットランドを代表する建築家・デザイナーC. R. Mackintoshとデザインがよく似ている。特に調度品やら、窓枠など、装飾の部分は本当に通じるものがある。デザインに関しては全くの素人なので、大きな事は言えないが、やはり当時を代表するArt Nouveauデザイナー達。スコットランドと、カタルーニャの奇妙なつながりを感じた旅だった。

 
 

ラフロイグとカカオの関係
Edinburgh Now: 024
2003.12.24
 
 

日本人がそうであるように、英国でもフランスに対しては華麗なイメージがあるようだ。ちょっと気取ったお店に行けばクリスマスをNoelなんて書いてあったりする。スコットランドは「Auld Alliance」ということもあって昔からフランスと仲がよいが、エジンバラの観光の中心、Royal Mileをholyrood宮殿に向かってくだった、Canongateにフランス人が経営するチョコレートと、紅茶のお店がある(Cadenhead'sエジンバラ店のすぐ近く)。この店、100種類以上のThe(フランス語でお茶のこと)(日本の玉露なんかがあったりする)と、厳選したチョコレート(カカオもガーナやマダガスカルの○×産なんて書いてあったりする)、毎日パリから届くパン、ノルマンディー産のバター…なんてこだわりにこだわりまくっていて、そこで作られているケーキはロンドンでもなかなかお目にかからないような本格的なものである。

Chocopresso
 

英国人の好きなホットチョコレートもカカオの種類や、濃度によっていくつかの種類があって、中にはインカ帝国スタイルでチリを入れて飲むものまで。自分が気に入っているのは"Chocopresso"と呼ばれるどろどろの濃厚なホットチョコレート。デミタスカップに入ってくる様はまさにエスプレッソそのもの。最後の方はカカオが固まってカップを傾けても出てこなくなるので、スプーンが付いてくるのはご愛敬。

 


そんなお店”Plaisir du Chocolat”にておもしろいものを発見。

チョコレートにラフロイグを練り込んだもの。ベルギーチョコレートのような、一口大の大きさで、一個単位で売ってくれる。日本でも、場所によってはチョコレートにアイラウィスキーを練り込んだものが手にできるところがあるが、チョコレート専門店がラフロイグ入りのチョコを売るのは珍しいのではないだろうか?当然カカオもこだわっているようでマダガスカル産のものが使われていた。試しに一個口にしてみたが、最初はさほどではないものの、チョコが口に広がるにつれ、「ラフロイグが揮発する」といった感じで独特のアイラ臭が口を包み込む。カカオ含有量が高いせいか、ビターな風合いとほどよい具合。特に、舌に残ったほろ苦さと、かすかなアイラ臭がチョコレートそのものを飲み込んだ後も口の中に漂って絶妙。最初からこれを狙って作ったのだとすれば、本当に感嘆ものだ。

 


残念ながら他のチョコとは違って、やはり一般受けしないのか、いつもあるというわけではようだ。仮に訪れたときに、このチョコがなかったとしても、Cadenhead'sなどで掘り出し物を探したあとなど、一息つくには最高のカフェであることは間違いない。

Plaisir du Chocolat
残念ながらラフロイグ入りのチョコは撮せませんでした。
 
 

Cardhu禍
ついに英国国会まで行くが、一応の決着
Edinburgh Now: 023
2003.12.05
 
 

これまで何度かお伝えしてきたCardhuの問題であるが、ついに国会での、いわゆる「Question Time」の場においてブレア首相が質問を受けるという事態にまで発展を見せた。が、12月4日、デザインの変更という形で決着を見ている。

11月12日、Moray州選出の(エルギン・スペイサイドの一部を含むスコットランドの一州)ロバートソン下院議員(Scottish National Party:SNP所属)は、自身が副議長を務める、超党派で形成された下院スコッチウィスキー産業会がDiageoとの間において行われているCardhuに関する協議をトニー・ブレア首相が支持するかについて質問した。

どうやらブレア首相としてはこの質問に驚いたようで、最初この件が政府に関わる問題かどうかが定かでないとの返答をしているが、その後、会の動きに注目するとの姿勢を示した。

ロバートソン氏は、質問の後、Cardhuの一件が、スコットランドにおける最も重要な産業であるウィスキー業界の調和と健全性を脅かす非常に深刻な問題であると述べている。

一方でDiageoは、この一件が大げさに、また不公平に歪められた報道をされていると釈明をしているが、同業他社や、そのロビー団体の反論は辛辣だ。Glenfiddich,Balvenie等を有するWilliam Grant & Sonsは、BBCにおいて以下のように発言している。
「同じボトル、同じデザイン、違う中身にSingle Maltから、定義も定かではないPure Maltに変えて、泡良ければ最大のマーケットであるスペインでこの改変があまり問題にされなければと願っている。」。「しかし、消費者がこのようなことに気がつけば、彼らは必ずや他のシングルモルトを疑い始めるはずだ。気をつけた方が良い。もし、シングルモルトを信ずることができなくなれば、次は『スコッツ連中は奴らのブレンデッドウィスキーの中身では一体何をやらかしてるんだ?』となるだろう。」

 
 
これらの動きを受け、Diageoは12月4日、スコッチウィスキー協会(SWA)の委員会において、Cardhu "Pure" Maltの箱および、ラベルの色変更を含めたパッケージデザインの変更をし、新たな消費者向けキャンペーンを行うとの発表をした(写真は、グリーンを基調とした新たなパッケージ)。SWA、Diageo両者とも満足のいくものだと円満な合意を強調している。
CARDHUニューパッケージ
画像はBBC NEWSより
 
 

クリスマスシーズンまもなく到来
Edinburgh Now: 022
2003.11.15
 
 

日本のニュースをインターネットで見ると「早くもクリスマスが…」なんて文言が並んでいるのを目にするが、ハロウィーンが去り、ガイフォークスの花火シーズンが無事終わると、英国ではクリスマスに向け皆がプレゼントに頭を悩める季節の到来である。北米と違って11月終わりの感謝祭がない分、これから急激にクリスマス色が強くなっていくのが手に取るように解る。既にデパートやハイストリート(目抜き通り)ではショーウィンドウがクリスマス一色。クリスマスプレゼントはいわば日本のお歳暮といったところだが、送る数がちと違う。家族やら友人、親戚、その子供たち、親しい人間、職場の同僚、上司、恋人と、ともかく途方もない人数に送る、いわば「プレゼント合戦」といったところか。クリスマスカードに至っては日本の年賀状状態である。小売業界はこのシーズンが一番のかき入れ時で、ロンドンではショッピングストリートであるリージェントストリートにどれだけ電飾がなされたかでその年のクリスマス商戦がどれだけヒートアップするかがわかると言われるほどだ。

 


かたや、プレゼントを購入する側は、いかに効率良くこれからの週末を使い「もれなく」プレゼントを買うかが最大の問題なのである。毎年、クリスマス直前に買い忘れにあわてふためく人々を何度みたことか。小売店でも、従業員が自らの買い物ができるようにとわざわざ特別シフトを組むところも多い。
そういえば、遠くCraigellachieのバスにもクリスマスショッピング向けの特別バスがエジンバラとグラスゴーに向け運行される旨の張り紙があったっけ。リッチな人はそれこそ、パリへローマへとかけずり回る時期でもある。ま、このシーズンが終わり、年が明ければみんなの財布は文字通りすっからかん、クレジットカード会社から送られてくる明細も2〜3ヶ月は恐ろしくてそのまま封印。つまり、1〜2月(悪ければ3月も)は小売店・外食産業にとっては「冬眠時期」。その分、これからのシーズン、ロンドンから、スペイサイドの片田舎までハイストリートと名の付く通りの週末の賑わいは本当に見ていて気分が高揚するものだ。

ということでこのシーズンはウィスキー業界も目玉商品や新規商品を投入する時期でもある。いくつか、この一ヶ月間に発売された新しいボトルについて、ちょっと紹介を。

 
 
まずは、Ardbeg Uigeadail。
Ardbeg蒸留所の水源の名を冠したこのボトル、すでに日本でも話題になっているようだが、こちらでは販売直後に売り切れるという大盛況。93年物のArdbegを中心に、少量の90年、おそらく78年頃と思われるSherry樽寝かせのArdbegが入っているらしい(「らしい」、ですよ)。少量とはいえ、Sherryの影響が色濃く出ていてArdbeg独特のピーティーさと相まって相当分厚い印象を受ける。なんだか昔のArdbegを彷彿とさせるようで、かなりのでき。小売りも、イギリスでも6000円程度ということで、かなりお買い得かもしれない。17年がその座を譲るという形で導入されたこのUigeadail、かなり期待ができる。
Ardbeg Uigeadail。Ardbeg
Ardbeg Uigeadail


次は、Bruichladdich Links。
あのぶっとい缶全面にSt. AndrewsのOld Courseの絵が描かれている。ちょうど先日、人につれられてSt. Andrewsで初めてゴルフをしてみたが(とはいえ、Old Courseに隣接する打ち放しですが…)、たしかにそのままの絵である。好き嫌いが分かれるかも。14年熟成ということで、15年との対比がおもしろそうだが、残念ながら試飲はまだ。
Bruichladdich Links
Bruichladdich Links
 
Glen Morangieも新たなボトルを投入。Burgundyフィニッシュ。
三つ子のSherry,Port, Madeiraの内、Madeiraが退場し、代わりのこBurgundyが選手交代の形で入るとのこと。試飲をしてみたが、薫りは、赤ワイン系フィニッシュにありがちなモサッとした印象が強い。が、飲んでみればMorangie特有の軽い、シャープなキレが残る。Madeiraを試したのは遙か昔なので対比はできないが、Fortified Wineではなく、純ワイン系フィニッシュのMorangieとしては安めで、おもしろいかも。
Glen Morangie Burgundy
Glen Morangie Burgundy
 
BlendedのCampbelltown Lochもいつの間にやら25年から21年に。 値段は据え置き。25年のすばらしさに驚愕した覚えがあるが、果たして21年はどうだろうか?これも未だ試飲せず。

もう一つは、Compass BoxのMonster。
これはNYCのPark Avenue Liquor ShopオーナーGoldstein氏のリクエストを受けて作られたもの。名前の通り、とてつもなくピーティーなBlendedだとか。Compass Boxは自分も注目の会社で、オーナーが真のモルト好きだと、Craigellachieの皆川氏も熱く語っていた。新世界ワインを思わせるボトルラベルは賛否両論だが例の事件とは違って、こういう「伝統」の殻に閉じこもったウィスキーのイメージを打ち破る新たな動きは大賛成である。先達が作り上げた名声を「利用」するのではなく、自らリスクを取って何かを変えようというその志。会社の規模と相まって本当に眩しい思いがする。
Campbelltown Loch
Campbelltown Loch
Compass Box Monster
Compass Box Monster
 
 

Craigellachieから戻って早10日
Edinburgh Now: 021
2003.11.13
 
 

RMWにも戻り、普段の生活へ。今回の件でお世話になったウィスキー関係者に報告の意味を込めて挨拶周り。とあるところで、いきなりウィスキーのブラインドでの試飲を勧められる。
テイスティンググラスに注がれたその淡い色のウィスキーはすぐに相当熟成の進んだウィスキーだということを感じさせた。しかし、いつも自分が飲むタイプの長熟ものとはちと違う。どちらかといえば、ローランド系のあっさりした印象。でもSt. Magdaleneでもなければ、Rosebankという感じでもない。
はてさて、もしや30年以上熟成されたグレーンウィスキーか??向こうはニヤニヤして、「あながち遠くもないなぁ」という。
ますます混乱。しばらくして中身を聞いた瞬間思わず大声を上げてしまった。なんと先日発売となったMoffat蒸留所のKillylochだというのだ。う〜ん、£900のモルトか。たしかにグレーンウィスキーも遠くはないというのがわかるが、いくら同じ敷地内とはいえ、原料も、製造工程も全く違う純粋なモルトである。モルトをグレーンと間違えるこの鼻。確かに旨いのだが、今までに遭遇したことのない、不思議なモルトだった。

 


Cardhuがいかに大きな渦を引き起こしたかについて論議

その後、その某ウィスキー関係者と話を続け、Cardhuがいかに大きな渦を引き起こしたかについて論議。確かにGlenfarclasのグラント氏は怒り心頭の様子だとCraigellachieの地元紙が報じていた。ウィスキー関連に手を染めて初めてわかったが、この業界には昔ながらの「紳士協定」というものが隅々まで根付いている。その中には業界中心の考えに沿ったものもあれば、消費者を思っての暗黙の了解もある。今回のCardhu Pure Malt騒動はいわば、消費者を愚弄するものだということらしい。ただでさえSingle Malt の定義もわかり辛く、多くの消費者がBlendedとの違いすら良く理解できないという現状(これは業界中心の暗黙の了解にその根底があるのだろうか?)にあって、以前はSingle Maltとして売られていた物が、Vattedにいきなり変わるということ、さらにBlendedではなくいよいよ意味も曖昧なPure Maltとして売られるということが何を意味するか?しかも、それを行うのはウィスキー業界最大手の会社である。彼は熱っぽく話を続け、我々売り手がここまでゆっくりゆっくりと消費者のウィスキーへの理解を深める努力をし、真摯に行ってきたことが一瞬にして「ビジネス」の名の下に崩れ去るのは許せないと怒る。紳士協定が成り立つ最大の理由は、誰もそれを破らないことにある。それが、利己的理由により破られるという、それを粛々と守っていたこの業界を「ルール無用」の世界へと一気に引きずり込む最も効果的な方法かもしれない。
いずれにせよ、彼は今後、ワイン業界のようにEUレベルでの紛争解決に持ち込まれ、明文化されたルールが作られることも、あり得ないことではないかもしれないと語っていた。紳士協定から、明文化されたルールへ。もしこれが本当だとすれば、ウィスキーの古き良き文化にまた一つ危機が訪れているわけである。