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スコ文研会員レポート
イタリアのコレクターに会う
会員No.237 山岡秀雄
The Collectors
2004年1月の上旬にイタリアの有名コレクター達に会ってきました。そのときのことをレポートします。
1月5日
ミラノ到着。ホテルに着くと、ナディことFerdinando Nadi Fioriからメッセージが届いている。
明日からのコレクター巡りに関して、電話で相談する。ナディはイタリアのインポーターとして有名な、インタートレードの創始者で、現在はハイスピリッツ社を運営している。驚いたことに、イタリアのコレクターのほとんど全員が英語が話せないのだという。したがって彼が通訳兼、案内係になってくれるのだ。
1月6日
昼過ぎ、ナディがホテルに迎えに来てくれる。その後同行者である、ドイツのポート・エレン・コレクターのステファンと合流する。ステファンと私は、ウィスキーの物々交換をよくしている。その関係で今回のコレクター巡りをアレンジしてくれたのだ。ステファンと合流後、スイス国境のバレーゼに住むジブリオ・コンティ氏の所へいく。彼はコレクター間では、無名なのだが、コレクションの数はすごいというのだ。実際そのコレクションを目の前にすると、圧倒される。コンティ氏は銀行家であるが、おそらく妻の財産をバックに、5,6年で8000本ものウィスキーを集めたらしい。それも高価な19世紀のボトル数百本をふくめ、ありとあらゆるものを集めて、豪華なショーケースにいれてある。たとえば、ウィルソン&モルガン全種類、最近の1926を含むマッカラン・ビンテージ全種類という具合である。その壮大なディスプレー用のスペースは、彼の車のコレクション用のものでもあり、車も数十台置いてある。彼が無名なのは、自分自身で集めるのではなく、数人の知人が代わりに買ってくれているからだ。それを聞くと、なんとなく彼のコレクションも味気ないものに思える。
 
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コンティ氏のオールドボトルコレクション
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右よりコンティ氏、ナディ、ステファン
 
その後、イセオ湖畔に移動し、夕飯をとったのち、Brasseri del Canaleonteというパブに行く。そこには数多くのモルトがあり、ボウモアのバイセンテナリー、グレンドロナックのダンピー12年などをいただく。こちらが持参したSMWS120.3(白州のピーティータイプ)、ヘルムスデール向けのロッホサイド1966などをオーナーのフランコに飲んでもらう。楽しい時間のあとに、会計をしようとしたが、フランコは受け取ろうとしない。かわりにナディは、私が彼にあげた山崎15年カスクを、フランコに渡す。その日は、ミラノ郊外のパビアに移動し、リッツ・ホテルに宿泊する。
1月7日
10時にホテルを出て、ミラノに行き、バー・メトロへ。
有名なジョルジオ・ダンブロージョが経営する店だ。彼はイタリアの5大コレクターの1人だ。 5大コレクターとは、ダンブロージョ、ベニョーニ、サンドロ、ザガッティ、カサーリでありイタリアのコレクターを特集した「ITALIAN PASSION」という本に”Magnificent Five”として紹介されている。メトロは早朝からオープンしているコーヒー・ショップで、開けたウィスキーは並んでいるものの、誰も飲んでいる人間は見かけない。しかも夜8時には閉まるというのだ。だがウィスキーを買うことはできる。今回訪れた中で、唯一ウィスキーを買った場所である。
地下の非常に狭い倉庫には、ところ狭しとウィスキーがならんでいて、非売品の19世紀のウィスキーを見ることもできた。同行者のステファンが言うことには、販売用のストックはかなり減ってしまい、残ったものも値段は高くなってしまったようだ。
 
 
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バー・メトロ
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オールドボトルをバックにナディとジョルジオ
 
 

そのあとボローニャへ行き、5大コレクターのもう1人、サンドロのところに行く。彼はDa Sandroというイタリア・レストランを経営している。そこでランチをとるが、手作りパスタ入りのスープや、うさぎ肉のソテーはすばらしくおいしい。
食後、倉庫へいく。シャッターを開けると、19世紀のマッカランがずらりと並んでいる。やや薄暗い室内には、数多くのレアなウィスキーが並んでいる。複数所有しているものは、販売しているようだが、値段はかなり高く、手を出すことはできない。

ところで今回訪れなかった5大コレクターの1人であるベニョーニと、ジョルジオ、サンドロ、ナディらとは仲がよくないようだ。先述の『ITALIAN PASSION』という本に、私がサンドロにサインを頼むと、ナディはベニョーニのページにサインさせようとする。サンドラはベニョーニの顔に×印を書くのだ。彼の店に飾ってある同じ本を見ると、ベニョーニの写真のページはやぶられてあり、おもわず大笑いしてしまう。

 
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サンドロ氏の倉庫入り口
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サンドロ氏のコレクション
 
サンドロに別れを告げたあとに、ボローニャの西にあるルーゴという町へ。そこにはあの有名なザガッティの家がある。彼も5大コレクターの1人だ。ザガッティの家は意外に小さな家で、それほど広くない1部屋に、ボトルがぎっしりと並べられている。彼は非常に気さくな人間で、G&Mのマッカラン1940、マッケンジー20年などを出して、飲ませてくれる。サインを頼むと、盲目の彼は、点字を書く機械で、サインしてくれる。こちらが持っていったウィスキーも、真剣にテイスティングしていた。おみやげにヘルムスデールのオーへントッシャンを渡す。

彼のコレクションを特集した本をご覧になった方も多いと思うが、今度その第2弾が出るのだという。その後に、彼はコレクションの大部分を売りにだすという。ベニョーニは主な300本を、1本200ユーロで買うと言ったらしい。我々は爆笑してしまう。数十本で元がとれてしまう。ナディは、日本のバーテンダー10人に売るのはどうかと聞いてくれる。ザガッティはまんざらでない表情をする。
彼の記憶力は非常によく、本にのっていたあるボトルについて質問すると、どの棚の何列目のどこにあるかを覚えていたのには驚く。
その家を後にする時に、ザガッティは最後まで家の出口で手を振ってくれる。その姿は非常に印象的である。
その日は、アドリア海沿いのナディの本拠地であるリミニで宿泊する。
 
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ザガッティ氏にサインをもらう
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ザガッティ氏のコレクション
 
 
1月8日
  リミニにあるハイスピリッツの倉庫に行ったあと、アドリア海沿いに北上し、ラベンナに行く。そこにはグロリアというレストランがある。このレストランのエントランス付近には、19世紀から20世紀初頭にかけての、ウィスキーが数十本並べられている。何本かを手に取って眺める。このレストランのオーナーの、ジョゼッペ・ガンビは、まだ30くらいの年齢だが、父が死んだあとにコレクションを相続したのだ。ベニョーニはそのコレクションの多くを買ったという。
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グロリアのガンビ氏
 
そこでランチをとったあと、モデナに行く。そこは5大コレクターの1人、カサーリの家がある。カサーリの倉庫は楽しい。その並べ方はシステマティックではない。モルトの間にバーボンが並べられていたりするのだ。視覚的な美しさを重視した並べ方をしているようだ。彼の写真をとろうとしたが、断られた。写真をとられることが嫌いなようで、本にも息子の写真をのせている。彼らは熟成の長い、バルサミコ酢を作って生計をたてている。その熟成庫にもいれてもらった。長いもので数十年物というのもあったが、それらは非常に高価なものだという。ミニチュアに入れた1本をおみやげにくれた。
 
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カサーリ氏のコレクション
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カサーリ氏のコレクション
 
その後ミラノに戻り、コレクター巡りは終る。
 

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