輸入記者会・第1回勉強会
2004.05.14 開催

テーマ:
シングルモルトと肴(魚介類)の相性を探る
講師: 土屋守氏(スコッチ文化研究所代表)
会場: 神田笹鮨(取出一郎氏/取出隆二氏)
参加者: 輸入記者会8名
***
シングルモルトウイスキーと和食との相性を探る試みは、これまでにも行われてきました。2002年ウイスキー・マガジン・ライブではマイケル・ジャクソン氏、アリスター・ロバートソン氏、そして土屋守氏をパネラーに「ウイスキーと寿司」と題するセミナーが開催されたのは記憶に新しいところです。この試みの際、パネラーの土屋守氏は酢飯とウイスキーの相性に若干の懸念をいだきつつも、「非常にチャレンジングな試み」と評しました。今回は、あえて寿司にはせずに、魚介類を素材とした和の肴とシングルモルトとの相性がいかなるものか、業界紙の輸入記者会メンバーの皆さんと試しました。
 
今回使用したシングルモルトは以下の3種類としました。

●マッカラン・ディスティラーズ・チョイス/スペイサイド/40%/サントリー
●タリスカー10年/スカイ島/45.8%/MHDディアジオモエヘネシー
●アードベッグ10年/アイラ/46%/国分

シェリー樽熟成でありながらその特性が控えめな「マッカラン・ディスティラーズ・チョイス」、海のキャラクターを備えつつスパイシーな「タリスカー10年」、スモーキーなアイラモルトの「アードベッグ10年」というように、異なる風味をもつスタンダートなモルトを選択。
テイスティングボトル
神田笹鮨・取出隆二さん

肴は会場となった「神田笹鮨」に今回の企画主旨を伝え、品書きにはないものを特別にご用意いただきました。
調理を担当された取出隆二氏は今回にそなえ、自身で上記の3種類のシングルモルトを試された上で、以下の8種類のメニューを選択されました。

輸入記者会の皆さん
 
鯛昆布〆 ■鯛昆布〆
シングルモルトを意識して鯛は脂の多い養殖ものを使用し、最初に軽く塩をふり、ピート香に合わせて、しっかりとした味にするため通常より長時間(一晩)昆布じめしたもの。
穴子・江戸前大蛇白焼き ■穴子・江戸前大蛇白焼き 江戸前大蛇はビール瓶ほどの太さで体長60pもある穴子で、軟らかいのが身上。塩はいっさいふらずに、穴子自体の塩気のみ。こげ目をつけて香ばしく仕上げた。
自家製からすみ ■自家製からすみ
市販のからすみほど乾燥させずに内はしっとりと、周囲のねっとりとした食感をウイスキーで洗い流す感じで、チーズのように楽しんでもらえるよう厚めにカット。
烏賊燻製 ■烏賊燻製
アオリ烏賊の耳を塩茹でし、チップで2日間スモーク(冷燻)。
沢庵燻製 ■沢庵燻製
自家製沢庵を冷燻したもの。かなり塩が効いている。
平目縁側煮こごり ■平目縁側煮こごり
針しょうがで味をしめた平目縁側の煮こごり。旨味が凝縮されている。
穴子肝 ■穴子肝
穴子の肝を醤油だけで煎りつけたもの。
鮑肝しんじょ ■鮑肝しんじょ
鮑の肝と白身魚のすり身を2対1の割合で合わせ、はぶたえで濾しキメを整えた。
本来は割醤油で食するものだが今回はそのままで。
勉強会風景

シングルモルトとそれぞれの肴との相性は以下の順で、その際シングルモルトは約1対1に加水を行いました。
マッカラン・DC
タリスカー10年
アードベッグ10年
鯛昆布〆 モルトのフレーバーがややリッチ過ぎる。 ストレートでは肴が負ける。水割りがちょうど良い。 少しつらいものがあるが、大葉を巻いて一緒に食べると悪くない。
穴子
江戸前大蛇
白焼き
白焼きのソフトな味わいにはやや強過ぎるが、悪くはない。 いい意味でそれぞれが主張しているのはタリスカー。
海のキャラクターのモルトが魚介類に合うとは限らない。
こげ目の部分がアードベッグと合う。
自家製
からすみ
濃厚なシェリー樽もののストレートが良いかもしれない。 からすみの個性に負けている。 アードベッグだと強過ぎる。
烏賊燻製   スモークが軽いのでタリスカーの水割りが合う。 アードベッグのスモーキーさが勝ってしまう。
沢庵燻製     ストレートのアードベッグが合う。
平目縁側
煮こごり
単純に肴が旨い!
個性を主張しないハイランドモルトの水割りが合う。
  煮こごりの食感にはヘビー過ぎる。
穴子肝 モルトの甘みが凝縮して感じられる。   モルトの甘さを引き出す。
ストレートが合う。
鮑肝しんじょ   タリスカーでは肝の個性に負ける。 肝の苦みと合う。
ヨードが響き合って抜群!
ストレートが合う。
 
評価点数集計表
  マッカラン・DC タリスカー10年 アードベッグ10年
鯛昆布〆 2.8 ○ 2.5 △ 1.2 ×
穴子江戸前大蛇白焼き 1.8 △ 2.1 △ 1.7 △
自家製からすみ 2.2 △(ストレート) 2.4 △ 2.1 △
烏賊燻製 1.8 × 2.4 ○ 1.9 △
沢庵燻製 1.5 × 1.7 × 2.0 ○(ストレート)
平目縁側煮こごり 2.2 ○ 2.0 △ 1.5 ×
穴子肝 2.4 △ 2.3 ○ 2.5 ○(ストレート)
鮑肝しんじょ 1.9 × 2.3 △ 2.7 ○(ストレート)
【注】各欄の評価点数は「○」=3点、「△」=2点、「×」=1点で集計、10名分の合計点数を10で割って平均点を算出しました。また、各欄の「○」「△」「×」印は土屋守氏の相性採点です。
 
総 括
S・Sさん
  残念ながら二日酔いで体調優れず・・・。
勉強会後の懇親風景
   
S・Dさん
  いい意味で企画が良かった。店が頑張り過ぎたのでは?
脂と塩という点ではアードベッグが合うと感じたが、ジャパニーズとの対比も聞きたかった。(日頃は角瓶を愛飲)
   
N・Tさん
  アードベッグを食事の合間に飲むと良かった。
 
勉強会後の懇親風景

神田笹鮨・取出一郎さん
 K・Uさん
  和食に対してはアードベッグがオールマイティだった。合間の酒として悪くないが、ウイスキーは単独で味わうほうが良い。
 
  N・Mさん
  3種類のシングルモルトと食との相性という点においては、別々に楽しんだほうが良い。企画としては単純におもしろかった。また、土屋氏の表現法もおもしろかった。
 
  A・Aさん
  沢庵燻製以外は口の中で合わせることができた。
日頃からすみを食する時は焼酎だったが、今回シングルモルトはひとつの契機となった。穴子の白焼きはシングルモルトと合う。
 
T・Sさん
  頂上ゆえの対決となっていた。日常の食ということでは、ワインよりウイスキーのほうが合う。
モルト・バーもフィンガーフードを用意してはどうか。
   
M・Nさん
  日頃ウイスキーが飲まれない寿司屋にウイスキーを持ち込んだらどうなるかを、試してみるため開催した。
今回食したものは品書きにはないので要注意。
     
取出一郎さん(神田笹鮨)
記念撮影
  はじめてスプリングバンクを飲んだ時にピーティさと同時に、地酒っぽい、どぶろくのようなものに思えた。ではブレンデッドウイスキーは何なのか、とも思った。
   
土屋守さん(スコッチ文化研究所)
  また「寿司とウイスキー」の二の舞かと思っていたが、今回は料理が素晴らしかった。ウイスキーは食中に飲むことで、口中をフレッシュにし、味覚をよみがえらせてくれる。こんなおもしろい企画は、我々だけのものにしておくのはもったいない。
 
ご協力いただきました「神田笹鮨」様にはこの場をお借りしてお礼申し上げます。
 
編集・スコッチ文化研究所

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