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Scotch Whisky Research Centre
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スコ文研会員レポート
 
会員No.470 安部 清
the shetland islands
2004年5月3日−10日
今回の旅の予定はスペイサイドからシェットランドへ。
シェットランド諸島といえば、オークニー諸島よりもさらに北、北緯60度に位置してスカンジナビア半島と肩を並べる程のところで、セーターとシープドッグは有名ですが、ことウィスキーに関して言うと話題に登ったことがありません。
それもそのはず。スコッチウィスキーの長い歴史の中でも、過去にシェットランドに蒸留所が建設されたことは一度もないのです。そのウィスキー不毛の島に新しい蒸留所が誕生しようとしているのです。その名も「Blackwood(ブラックウッド)」。
 
新蒸留所の建設というと、2年前に訪れたアイラ島のキルコーマン蒸留所で空振りに終わった経験があるので一抹の不安を感じていましたが、すでに立派なHP(Blackwood)もあり、それによるとウィスキーより一足早く、ジンやウォッカ、ウォッカベースのリキュールがブラックウッドの名で発売されており、また、事前に問い合わせたところによると5月にはウィスキー蒸留所の建設がスタートしている、とのことで新しい”最北”のウィスキー蒸留所に期待が膨らみます。

そうです、この蒸留所が建設されると、オークニー島のハイランドパークを抜いて(?)世界最北のウィスキー蒸留所となるのです。

成田からロンドン経由でアバディーン。2日間スペイサイドの蒸留所を廻り、またアバディーンに。ここから毎日数便の飛行機がシェットランド諸島メインランドの南端、サンバラ空港に飛んでいるのです。この便数はアイラ島やオークニー島へのものと比べるととても多く、ちょっと意外な感じがしましたが、ウィスキー好きにはあまりなじみの無いシェットランドですが、一般の観光地としてはアイラなどよりよほどポピュラーな場所のようです。

飛行機はおよそ30人乗りの双発のプロペラ機で轟音とともにアバディーンを飛び立ち、1時間ほどでサンバラ空港に降り立ちます。
すでに時間は午後7時半を過ぎているのですが、まだ昼間のような明るさ。北の地に来たんだ、と実感します。空港でレンタカーをピックアップして島での滞在地、首都のラーウィックまで30分ほど。シェットランドはちょっとタツノオトシゴの形に似た細長い島ですが、とくに南部は細くなっていて空港のある南端や海沿いの部分にわずかに平地があるだけで、あとは山というか丘が連なったその麓に一本道が走っていて海沿いにポツポツと民家が点在しています。
ラーウィックの町も海に向かう丘の斜面に石造りの建物が密集している感じで、オークニーのようなまっ平らな島ではなく丘の島であることがわかります。

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サンバラ空港
 
ラーウィックの町
 
 
さて、肝心のブラックウッド蒸留所ですが、手がかりはラーウィックにある本社(?)の住所とホームページにあった蒸留所建設予定地のアバウトな地図だけ。いささか頼りない感じですが2月に受け取ったメールでは「歓迎します」とあったのでその言葉を信じて最北の蒸留所さがしが始まります。
翌朝、まずは近場からということでラーウィックの事務所探し。住所によると泊まっているホテルの近くのはずで、近くのパン屋さんで聞いてみるとすぐ隣とのこと。でもそこはどう見ても不動産屋。恐る恐る入って聞いてみると、「確かにここです」と。
詳しい話を聞いてみようと思いましたが、そこは便宜上(登記上?)の住所になっているだけで実務については何も分からない。
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メールをもらったキャロライン(ブラックウッドのCEO)について聞いてみても、彼女はロンドンにいるそう。仕方ないので建設予定地に行ってみようと思い、詳しい島の地図を入手するためにツーリストインフォメーションへ。

そこで買った地図を見てみるとこれから向かおうとしている場所(Catfirth)に’Blackwood Distillery’の文字が! インフォメーションの人に聞いてみると、「まだ何も出来ていない。」とのこと。一足先に地図に名前だけ入れてあるそうです。
やっぱりなとがっくりしていると、先週も日本人が一人ブラックウッド蒸留所を訪ねて来たそうで。日本人のモルト好きのパワーに他人事のように感心してしまいました。


とりあえず何も無いことは分かりましたがどんなところに建設されるのかだけでも見てみようと思い、建設予定地に向かうことにしました。
ラーウィックからA970を北上し、B9075を右に折れるとすぐに’Catfirth’のサインが見つかりました。このあたりもなだらかな丘が海に向かっていて、近くにはピート層を通ってきたため琥珀色をしたきれいな水が流れる小川が流れています。
羊達が草を食んでる以外は本当に何も無いところで、しかもそれらしい平地が見当たらないので「本当にここに蒸留所を作るのか?」という疑問が沸いてきます。
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念のため近くを走ってみましたが特に何も見つからず、最北の蒸留所探しはこれにて終了ということであたりをドライブして帰ることに。明日は何をして過ごそうか....。 
蒸留所探しはこれで終了か・・・画像07
ところがその夜、ホテルに私宛のメッセージがブラックウッドから届いたのです。
2月にメールを受け取った後、細かい旅のスケジュールが決まった後にシェットランドでの滞在期間や滞在予定ホテルなどを連絡しておいたのですが向こうからの返信は何も無く、まさか向こうからメッセージが届くとは思っていなかったのでこれは嬉しい驚きでした。
そのメッセージによると、まだ蒸留所の建設はスタートしていないが建設予定地の近くにオフィス(蒸留所建設準備室のようなもの)があるのでそこでよければ歓迎するとの事、そしてその場所までの細かい道順が説明されていました。
 

翌日、メッセージの指示通りに進んで行くとそこは昨日も走った道でした。何気なく通り過ぎていたところでしたがその道沿いにある小さな民家のような建物がオフィスのようでした。車を止めると向こうも気づいたようで玄関まで迎えに出てきてくれました。彼がメッセージを送ってくれたロビンです。
まずはメッセージをくれたことにお礼を言い、その後彼の説明を聞き、こちらもいくつかの質問をしました。私の英語力では全ては理解できませんでしたが、概ね以下の通りです。

 
蒸留所の建設は6月にスタートする。
年内(8月と言っていたと思う)にはウィスキーの蒸留を開始する。
ポットスティルのサイズ、デザインについてはDr.SWANが検討し、決定している。
現在、ジン・ウォッカ・クリームリキュールの3つを発売していて、クリームリキュールが最も売れている。(ジンが最も苦戦している)
それらの商品はグラスゴー近郊(詳しい場所は彼も調べないとわからない)のインバーハウス社の設備を利用して作っている。
シェットランドの気候はウィスキー作りに大変適しており、通常は年間2%といわれる「天使の分け前」がもっと少なくてすむ。
ウィスキーを販売する時はBlackwoodとは違う名前を使う可能性がある。
蒸留所建設の着工が遅れている理由は
1.原料(麦芽)の入手ルートが確保できていない。
2.製造過程における廃棄物の処理方法についての問題があった。
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蒸留所建設準備室でロビンと
私の英語力もはなはだ頼りないもので、また、対応してくれたロビンも(失礼ながら)ブラックウッドの中枢メンバーの一人という感じではなく、どこまで突っ込んだ話が出来たかといわれるとまったく自信がありませんが、そんななかで私が受けた印象は、本当に6月に着工するのか?ということと、仮に着工したとして、そんなに早くウィスキーが作れるのか?です。
最後に、詳しい建設予定地を聞き、オフィスを後にしました。やはり今のところ着工の気配も無く、熟成庫に利用する予定だという古い建物がポツンとあるだけで、本当にここで世界最北のウィスキーが作られるのかなぁと思いつつ、早くその日が来るように祈って帰途につきました。
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建設予定地
 
安部 清・・・東京恵比寿・BROWN JUGオーナーバーテンダー http://www.brownjug.co.uk/index.html
 

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