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スコッチ通信22・23号・宮越大輔レポート・・・操業準備中『ダフトミル蒸留所』連載中!

会員No.815 宮越大輔
D.Miyakoshi 皆さん初めまして。バイトの宮越大輔です。
昨年4月のスコ文研蒸留所ツアーに合流してアイラ島の蒸留所を巡った後、ウィスキー造りを勉強するため3ヵ月かけてスコットランドにある全蒸留所を訪ねてきました。
130ヵ所に及んだ蒸留所には、グレーンウィスキー蒸留所、失われた蒸留所、そして新しい蒸留所も含まれています。
そこで今回、僕が辿ったウィスキートレイルの記録を写真と共に紹介したいと思います。
 
         
【Part.1】
OBAN
TOBERMORY
BEN NEVIS
GLENLOCHY
【Part.2】
TALISKER
GLEN ORD
GLEN MHOR
GLEN ALBYN
MILLBURN
【Part.3】
TEANINICH
DALMORE
INVERGORDON
GLENMORANGIE

【Part.4】
CLYNELISH
TOMATIN
ROYAL BRACKLA
【Part.5】
BALBLEAIR
PULTENEY
       
【Part.6】
HIGHLAND PARK
SCAPA
       
 
【Part.3】
2004.5.13
TEANINICH

午前9時、今にも降り出しそうな灰色の雲の下、バスに乗り込みアルネスへと向かった。
アルネスにはダルモア蒸留所とティーニニック蒸留所があり、そこから少し足を延ばせばインヴァーゴードン蒸留所、そしてさらに北へ進めばグレンモーレンジ蒸留所があるテインに達する。出来れば今日中にこの周辺の蒸留所を廻りたいところ。

そうこう予定を考えているうちに、バスはアルネスの町の中心部に到着。降りてすぐ辺りを見渡すと、バス停があるこのハイストリートからは蒸留所らしき建物や煙突は見えない。蒸留所を探すべく、まずは近くの雑貨屋に入りこの辺りの地図を£1.50で購入。蒸留所はハイストリートの手前にティーニニック、反対側の町のはずれにダルモアと位置しており、まずは比較的近くにあるティーニニック蒸留所へ向かうことにした。

ハイストリートの手前を横切って流れているアヴェロン川沿いを歩くこと数分。右側に広がる広場の奥にティーニニック蒸留所が見えた。『見学施設なし』と大全に書いてある通り、蒸留所には職員のものと思われる車が2台あるだけで、見学者はおろか人の気配すら感じられない。誰もいない広場と、どーんよりとした雲がより一層寂しさを感じさせる。
とりあえずダメもとで見学をお願いしてみようと勝手にオフィスに入ると、受け付けの部屋の奥にレセプショニストと思しき男性が事務作業をしていた。軽く合図をすると、怪しい東洋人に気付いたようで、こっちに近づいてくる。彼に見学を申し出てみたが、やはり中の見学はダメとのこと。でもせっかく来てくれたのだからと、ティーニニックの花と動物シリーズのチラシみたいなものと名刺を記念にくれた。サインをもらい、外から何枚か写真を撮った後、再び町に戻る

TEANINICH TEANINICH
DALMORE
ハイストリートの終わりあたりから右に曲がり、インヴァーゴードンへと続いているダルモアロードを進む。下を走っているA9バイパスを越え、右に曲がりそのまま下るとダルモア蒸留所だ。
黒い屋根に所々煤がかかったような煉瓦。まさに『外観は駅舎のよう・・・』と大全に書いてある通りだった。蒸留所はクロマティー湾に面しており、ニューポットを待っている空き樽の向こうには油田プラント(?)が見ることができた。
 DALMORE
見学をさせてもらうべくオフィスを探していると、なにやら物音がする。音のする方へ進むと、そこではトラックから空き樽を降ろしていた。オフィスはどうやらその奥のようなので邪魔しないように近づくと、作業員の一人が挙動不審の僕に気づいた。見学したいことを告げると何か一言叫び、それに答えるように一人の男性がこっちに近づいて来る。見た感じ所長っぽいおっさんだ。そのままオフィスの方に案内されて入口に着くと、おっさんは僕にここで待つように告げてどこかへ行ってしまった。辺りをキョロキョロ見渡していると、一人の女性が笑顔で話し掛けてきてくれた。彼女がガイドをしてくれるようだ。
現在ダルモアでは見学施設が工事中のため見学を受け付けていないようだが、「せっかく来てくれたのだから特別に案内してあげる」と笑顔で言ってくれて、初めての一対一でのツアーが始まった。
初めに案内されたのはモルトミル。ダルモアでは現在モルティングが行われていないのでキルンは使用せず、フェノールコンテンツ2ppmのモルトを購入。仕込み水は蒸留所の横を流れているピーティーでソフトウォーターのアルネス川を使用しているとのこと。
RIVER ALNESS
マッシュタンを見て続いてはウォッシュバック。オレゴンパイン製で、スイッチャーはついているものの現在はブルイックラディ同様使用していないという。理由は今使用しているイーストだと発酵最盛時でも上まで泡が来ないかららしい。発酵している様子を見せてもらった後はいよいよスチルハウスへ。
MALT MILL MASH TUN WASH BACK
熱気のこもった部屋にはポットスチルが左右4基ずつ分かれていた。大全に書いてあるようにここのポットスチルは非常にユニークで、ウォッシュスチルはランタンヘッド型のT字シェイプ、ローワインズスチルには首の部分にウォータージャケットが取り付けられている。そしてその中にありましたよ、1874年製ウォータージャケット付きローワインズスチル!今でも現役で働いているようで、稼動中にもかかわらず写真を撮らせてくれた。隣に2つ設置してあるスピリッツセイフは、クロスワードパズルにいそしんでいた若いスチルマンが説明してくれた。大全に載っていた勝新太郎似(?)のスチルマンには会えずちょっと残念。
WASH STILL LOW WINES STILL
最後にウェアハウス見せてあげるということで熟成庫に向かったが、鍵を持っている人がどこかに行ってしまったということで残念ながら中には入れなかった。きっとあのおっさんが持っていたに違いない。話によるとウェアハウスは10棟あり、計8万3000樽が眠っているとのこと。そしてダルモアは週7日24時間フル稼動で、現在年間400万リットルのウィスキーを生産しているという。
一通り見学した後、オフィスにある一室に案内された。ソファーに座って待っていると2種類のダルモアを持ってきてくれて試飲させてくれた。見学後のウィスキーは美味い。最後になかなか言葉が伝わらない僕を相手に親切にガイドしてくれたことにお礼を言うと、お土産にと蒸留所のパンフレットとキーホルダーまで頂いちまった。ダルモアありがとう!じきに完成するというビジターセンターが楽しみだ。
DALMORE
INVERGORDON

ダルモアを出た後、そのままクロマティー湾沿いをひたすら歩いてインヴァーゴードンへと向かった。途中この道でいいのかちょっと不安になったので、庭で植物をいじくっているおっさんに尋ねてみたが、どうやらあっているようで一安心。蒸留所はもう少し先で、「近くなれば匂いでわかるさ」と笑っていた。

歩くことしばし、おっさんの言った通りだった。ほのかに穀物をマッシュしたときのような匂いが漂ってきた。そのまま進むとホワイト&マッカイの看板があったので、それに従い左折。坂を登りようやく到着したのが、かつてベンウィヴィス蒸留所があったホワイト&マッカイ・インヴァーゴードン・グレーンウィスキー蒸留所だ。

INVERGORDON
蒸留所は、柵とその内側に植えられた木で囲まれているため外側からでは全貌をみることが出来ない。とりあえず入口を入り目の前にある警備小屋に行って中にいた警備員に一応見学を申し出てみたが、「中に入れることはできない」と一喝。せめて建物の外から写真だけでもとお願いするがそれもダメ。「何しにここに来たんだ」と、かなり怪しく思っているようなので、軽くこれまでの経緯を説明。
「日本から・・・一人で・・・ウィスキー造りに・・・3ヶ月かけて・・・全ての蒸留所を・・・廻って・・・・・・」
・・・ しまった!逆効果だ。これじゃ自ら「ワタシ・イカレテマース」と名乗っているようなものだ。それは決して間違ってはいないんだけど・・・
僕の話を聞きながら、警備員はみるみる優しい顔へ。今ならきっといい病院を紹介してくれるに相違ない。
ならしゃーない、サインだけもらってとっととずらかろうとベンウィヴィスのページを見せてお願いすると、今までの厳しい口調が一変。どうやら大全に興味をもってくれたようで、「むかしここにあったんだよ」と昔話やら好きなウィスキーの話やらいろんな話をしてくれた。それで機嫌が良くなったのか「内緒だぞ」と、この場所からの撮影だけは許可してくれた。
INVERGORDON
ベンウィヴィスがあったという場所を撮った後外へ出て、来た方向とは逆に柵に沿って歩きだした。きっとどこかに中が見える場所があるだろうと思ったからだ。
案の定そのまま柵に沿って歩いていると、柵の手前に盛り上がった土手があった。そこには植木もなかったので中を見ることが出来た。そこから見えたのは、『INVERGORDON DISTILLERY』と黒く書かれたウェアハウスと無数の空き樽だった。不審そうにこちらを見ている住人を尻目に写真を撮る。
INVERGORDON INVERGORDON
GLENMORANGIE

警備員に礼を言い、来た道に戻る。その近くにあるバス停で待つこと10分。続いて向かった先はグレンモーレンジ蒸留所があるテインだ。

バスに乗り、強そうなおばさんの運転手に「グレンモーレンジ蒸留所があるテインに行きたいんだけど」と告げると、「着いたら教えてあげるから近くに座って」と言われる。
最前列で隣のおばあさんに話し掛けられ困ることしばし、バスはテインに到着したもよう。運転手からは何の合図もないが、ここがテインであることは間違いなさそうなので降りようとすると、たくましい腕が伸びてきた。「どうせ通るから目の前で降ろしてあげるわ」と言うので、お言葉に甘えさせてもらうことにした。

町を過ぎしばらくすると、右側にモーレンジの看板が見えてきた。運転手にお礼を言ってバスを降りる。いよいよあのスコットランドで一番首の長いポットスチルとご対面。轢かれないように横断し、早速レセプションへ。
ツアーの時間になりいつものように最後尾でカメラの準備をしていると、ガイドのおばさんとは別の見習のような女の子が僕のところへ来て、「日本人ですか?」と訪ねてきた。「正解です」と答えるとちょっと待っててと言い、日本語で書かれたパンフレットを持ってきてくれた。目を通してみると、5枚に渡るパンフレットには町の歴史から製造の各プロセスに至るまで実に良く書かれており、英語がわからない日本人でも満足できる内容になっていた。さすがスコットランドでも一番人気のモーレンジ、良く分かってらっしゃる。
ガイドの話はそっちのけでパンフレットを見ながら皆の後をついていった。本日のしんがりは僕ではなく見習いなので、これでは隠し撮りは出来ないなと思っていたが、意外にも蒸留所内の撮影はOKだった。

 
1バッチ9.5tのマッシュタンやステンレス製のウォッシュバックを見た後いよいよスチルハウスへ。熱気に満ちたスチルハウスには8基の優美な白鳥の首が並んでいるじゃありませんか!これが最も高いポットスチル。撮らねば!と思い早速カメラを構えるが、残念なことに稼動中のためかスチルハウスだけは撮影禁止とのこと。何度か見習いの目を盗もうと試みたがなかなか手強い。でもまあこの目で見れたから良しとしよう。その後ウェアハウスを見て最後にショップの隣にある部屋でソファに座りながらテイスティング。やっぱり見学後のウィスキーは格別だ。
充実したショップを物色した後、レジにいた見習いにサインをもらい、さあ帰ろうとした時に大事なことに気が付いた。バス停は近くにあるのかな?
MASH TUN WASH BACK
行きは目の前で降ろしてくれたので良かったが、どう見ても周りにバス停はなさそうだった。途中で拾おうにもこうでかい通りじゃ止まってくれそうもない。見習いに聞いてみたが、困った顔して他のスタッフに聞き始めた。やはりないとのこと。「わかった。んじゃ歩いて帰るわ。ありがとう」と言って出ようとすると、先程のガイドのおばさんが話を聞いたらしくこちらにやってきて、「私もこれから帰るから町まで乗せてあげるわ」と言って駐車場に案内してくれた。なんとテインまで送ってもらえることになったのだ。車の中でこれまでの話をしているとテインに到着。お礼を言って別れた後、そこからバスでインヴァネスへ戻った。これで本日の任務終了。
GLENMORANGIE
 
次回はクライヌリッシュからスタート!

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